欧州CL通信BACK NUMBER
欧州CL日本人初対決は内田の圧勝。
シャルケvs.インテル戦に2つの意義。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAP/AFLO
posted2011/04/14 12:45
「これからはリーグ戦とコッパ・イタリアに集中する。内田がシャルケとともに勝利したことは、日本人として嬉しく思う」と敗戦後に語った長友。「(日本のレベルが)上がってきたというか、やれると思うんです。みなさんも、もっとやれるんだっていう記事にしてくれないと(笑)」と報道陣に明るく答えた内田
ほとんど守備を崩されず完璧に試合を運んだシャルケ。
慎重に試合を進めたシャルケは、前半のロスタイムにカウンターを仕掛ける。
ボールを奪ったのは、ボランチのマティプだった。そこから素早く前線につないでいき、最後はラウールが相手キーパーをかわして先制を果たす。前半は0-0で終われば良いと考えていたシャルケにとっては、願ってもない展開だった。
後半4分、インテルのコーナーキックからモッタに同点ゴールを許し、しばらくは思うような攻撃が出来なかったが、それでもシャルケの選手たちは慌てなかった。
後半、インテルに許したシュートは8本あったが、枠内に飛んだのは2本だけ。対するシャルケは4本しかシュートを放っていないが、そのうちの半分の2本を枠内に飛ばしている。守備を崩されたといえるのは、後半20分にエトーからのパスを受けた長友が左サイドをかけあがり、クロスを上げた場面くらい。それもGKノイアーがゴール前でボールをしっかりとキャッチしている。
粘り強い戦いを続ける中、後半36分にはオーバーラップしたCBのヘヴェデスが相手キーパーとの一対一の局面で、ゴール右隅に勢いよくシュートを流し込んで2-1に。
実はこのあと、内田は左足首を痛めている。ただ、シャルケはすでに3人の選手交代を終えていた。代わりはいない。しばらくは痛がる素振りを見せていた内田は、それでもマイボールになると全速力で前線にかけあがっていた。
「やっぱり守りたくなかったので。出来れば、相手を押し込んで、前でパスを回して。(勝つために)念には念を、じゃないですけどね」
最後の瞬間まで集中力を切らせないシャルケの戦いぶりは、こんなところにも表れていた。
スコアは2-1。シャルケの2連勝で準々決勝は幕を閉じた。
欧州のリーグで3番手の地位が、イタリアからドイツへ変わった!?
マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたラウールは、こんなことを語っている。
「今夜はみんなにとって歴史的な瞬間になったね。そして、僕はこんな瞬間を味わうためにシャルケに来たんだ!」
シャルケは、クラブの歴史上はじめてベスト4進出を決めた。
次は、マンチェスター・ユナイテッドと戦うことになる。
この準々決勝の結果が意味するのは、ヨーロッパのリーグとして3番手の地位が、イタリアからドイツに代わったということなのかもしれない。
ドイツの盟主バイエルンではなく、1963年から始まったブンデスリーガの歴史の中で一度もチャンピオンになったことがないシャルケが、セリエAの雄インテルを下したことには大きな意味がある。
来季以降に与えられるCLの出場権が、ドイツが3枠から4枠に、イタリアが4枠から3枠になることが決定的となったからだ。
では、日本人にとって、今回の準々決勝は何を意味するのだろうか?