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凋落する名門、ローマとユベントス。
復活を期すふたりのカリスマ新会長。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2011/04/15 10:30

凋落する名門、ローマとユベントス。復活を期すふたりのカリスマ新会長。<Number Web> photograph by Getty Images

4月3日に行なわれた31節では名門同士が直接対決。クラシッチとマトリがゴールを決め、ユベントスが2-0でローマを下した

 最後のスクデットから、それぞれ8年と10年が経った。ユベントスとローマほど、近年のイタリア凋落を象徴するクラブはない。

 ただ、今季の優勝争いがミラノの2強とナポリに絞られた現在、4位争奪戦も俄然、熱を帯びてきた。

 “貴婦人”にも“永遠の都”にも、それぞれ死に物狂いとなる理由がある。

 昨季7位と低迷したユベントスは、躍進したサンプドリアからデルネーリ監督とマロッタGMのコンビを迎え入れた。しかし、新エースとして期待されたFWクアリアレッラや守護神ブッフォンが、重傷で長期欠場に追い込まれると序盤でつまずいた。

 寄せ集めの新戦力はデルネーリ流の“キエーボ・サッカー”をものにできず、特に地方クラブ相手に脆さを露呈した。ヨーロッパリーグでは1勝もできずに屈辱のグループリーグ敗退。欧州を蹂躙した昔日の面影は、微塵も残っていなかった。

暴徒化するサポーターに怯んだローマの監督は逃亡同然で辞任。

 栄華の座から転落するのはたやすい。昨季、最後までインテルを苦しめたローマも、上層部と現場、選手が一枚岩になれない悪癖は変わらず。起用法をめぐり、主将トッティやFWブチニッチなど主力が軒並み不満を訴え、監督ラニエリへの造反が表面化した。

 チャンピオンズリーグでは辛くも決勝トーナメントに進出したが、1回戦の相手シャフタール・ドネツクにホームで3失点負けを喫すると、サポーターの怒りも沸点に。トリゴリア練習場に250人を超えるウルトラスが集結すると、手製の爆発物をもって警官隊と衝突する異常事態にまで発展した。

 続くセリエAの26節ジェノア戦で、3対0から4失点の大逆転負け。もはや身辺の危険を感じた指揮官はその場で辞任した。後任には、一昨年引退したばかりで下部組織の少年チーム指導にあたっていた元FWモンテッラが急遽抜擢されたが、経験不足は明らか。低迷脱出の出口は見えなかった。

【次ページ】 ユベントスの会長が「選手たちには責任がある」と一喝。

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