箱根駅伝に挑む指揮官を動画でインタビューする連載「駅伝監督」に山梨学院大学・大崎悟史監督が登場。就任1年目の昨年、箱根駅伝予選会を3位通過したものの本選ではやや苦戦して18位。今年も予選会を3位で通過し、本選の舞台に戻ってきます。
予選会ではブライアン・キピエゴ（3年）が全体トップ、阿部紘也（2年）が全体10位、日本人3位と大きな存在感を示しました。予選会直後に「3位通過でじゅうぶんと思っていた」と語っていた大崎監督。その真意とは？ 昨年と今年は何が変わったのか。そして大注目のサンリオスポンサー効果についても掘り下げてお聞きしました。
「予選会に向けては順調に進んでいました。ただ、自信はありつつも、足をすくわれないかという不安要素もありました。だからこそ3位で予選会を通過できて、やってきたことが間違いじゃなかったと感じられたし、チームとして自信を得た予選会だったんじゃないかなと思います」
予選会を終えて、本選に向かうチームの雰囲気をたずねると、大崎監督はまずこう答えました。毎年熾烈な争いが繰り広げられる場で、1位通過の中央学院大と山梨学院大のタイム差はわずか21秒。1位通過してもおかしくないレベルで戦えていました。
大崎監督は、条件が良ければ10時間34分を切れると予想。だからこそ10人の合計タイム、10時間32分44秒での通過に「チームが強いな、すごいなと思います。驚きのほうがありますね」と選手たちをたたえます。
いい意味で予想を裏切ってきた予選会
選手たちはいい意味で大崎監督の予想を裏切ってきました。特に阿部紘也は日本人トップ集団に最後まで食らいつき、1時間2分09秒で全体10位でフィニッシュし、和田瑛登も1時間2分32秒で全体24位に入りました。
阿部については「まさかあそこまでトップ争いをするとは」と大崎監督も驚いたとのこと。前回の箱根駅伝、阿部はルーキーながら8区を区間3位で走った後から順調に来ていたのかと思いきや、春先に28分台を出してからは試合で狙いすぎてから回りしていた時期もあったといいます。夏合宿でじっくり腰を据えて練習を積めたことが、実力アップにつながりました。
3年生の和田は前回4区を走り、まさかの最下位。2月の丸亀ハーフマラソンでは1時間1分35秒と好走したものの、全日本大学駅伝関東地区選考会では走り出した直後に転倒。失敗がトラウマ的になっているところもあったと大崎監督は振り返ります。
「でもそれを乗り越えないと大きな舞台では戦えないよ、と言いました。予選会はなんとか結果を出してほしいという思いでしたが、応えてくれましたね。阿部紘也に追いつけ、追い越せと、和田だけでなく、大杉亮太朗、松岡一星、高橋楓河もすごく刺激を受けています」
阿部の成長がチーム全体にも大きな力をもたらしています
今回の予選会では、キャプテンの弓削征慶は出走していませんでした。「故障か」と考えていたところ、大崎監督の口からは驚くべき理由が明かされました。昨年5区を走り区間8位の好走を見せた弓削は今回の箱根駅伝でもキーマンとなるのは間違いありません。
強力な2人の留学生「嬉しい悩み」
山梨学院大学といえば、ジョセフ・オツオリ、ステファン・マヤカ、メクボ・ジョブ・モグスら、歴代で強力な留学生が箱根路を沸かせてきました。今のチームにも、ジェームズ・ムトゥク、ブライアン・キピエゴという2人の強力な留学生が在籍しており、ムトゥクは10000mで、キピエゴはハーフマラソンでそれぞれ今年の関東インカレ1部優勝した実力者です。
予選会を走ったのはキピエゴでしたが、大崎監督は2人の実力を見極めつつ、どちらを箱根駅伝本選で使うか考えていきたいと話します。どちらも学生トップレベルの実力を持つだけに「嬉しい悩みですよね」と口にします。箱根では「2区は留学生しか考えていない」とはっきり。果たして、どちらがエース区間を走ることになるのでしょうか。
動画では、ほかにも以下のようなトピックについて触れています。
- 就任2年目、どのような成長戦略を描いたか
- 「名選手、名監督にあらず」？
- 日本代表経験者の大崎監督に、選手たちは…
- 夏合宿で頭角をあらわした選手たち
- 山梨学院大ならではのスカウティングとは？
- 注目度大！！サンリオスポンサーの効果
- キティちゃんはまさかの場所にも！
しっかりと着実に、チームが「強さ」を増してきていることを感じさせ、さらに大崎監督の指導者としての包容力が滲み出る55分のロングインタビュー。山梨学院大の箱根路での戦いが楽しみです。（11月6日取材）
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