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【動画】「斎藤将也は5区もいいなと」城西大学・櫛部静二監督が語るチームの揺れ動くメンタルと最強留学生「キムタイは日本の駅伝がわかってきた」

2024/12/17
 2025年1月2、3日に開催される第101回箱根駅伝。Numberが注目する出場校の監督を取材する「駅伝監督」シリーズに、城西大学・櫛部静二監督にご登場いただきました。
 出雲駅伝では2位を目標としながら7位、全日本大学駅伝では6位。箱根駅伝はどう戦うのか。チームの柱となる3年生の2人、斎藤将也とヴィクター・キムタイについて詳しく掘り下げたほか、試行錯誤しながら着実に上がっているチーム力の背景について53分間じっくりとお話をうかがいました。

「こちらとしてはさほど驚くようなタイムではないですね。練習の感じからすると27分40秒から45秒、うまくいって30秒も見られるかなと。強度の高い質の高い練習をこなしていましたし、本人も狙い通りだと喜んでいました」

 11月23日の八王子ロングディスタンスで、エースの斎藤将也選手が27分45秒12をマークして自己ベストを更新。そのことについてまず聞くと、櫛部監督からは冷静なコメントが返ってきました。

 斎藤選手は2年連続1区を担当した出雲駅伝では区間11位と、本来の走りからは物足りない結果。「1区にちょっと苦手意識があるかもしれない」と言いつつ、予想外の暑さにスローペースとなった展開を振り返り「無駄に力を使ってしまった感じですね」と評します。続く全日本大学駅伝では4区区間2位。まずまずの結果ですが、昨年同じ区間で区間賞を取ったこと、今回4区で区間賞・区間新記録を獲得した青山学院大の黒田朝日選手とは38秒の差をつけられたことに「少しもったいなかったですね」といいます。

 その反省を踏まえて、城西大の代名詞・低酸素トレーニングと、ロードでのトレーニングの割合を見直して取り組んだことで出た結果が、八王子ロングディスタンスの好記録でした。

前回の2区では区間8位。「4年連続2区を走りたい」とエース区間への思いは強い ©️Yuki Suenaga
前回の2区では区間8位。「4年連続2区を走りたい」とエース区間への思いは強い ©️Yuki Suenaga

 ここまで2年連続2区を走り、2区への思い入れも強い斎藤ですが、実は上りへの適性も抜群です。1年生の時は「仮想箱根5区」とも言われる「激坂王決定戦」で、先輩である「山の妖精」山本唯翔に先着して優勝。「5区を走ってくれるといいなあと思っています」と櫛部監督は言いつつ、斎藤としっかり話をしていく予定です。

留学生エース・キムタイの「真面目さ」とライバル関係

 斎藤と並びチームの核となっているのが、留学生のヴィクター・キムタイ。去年に引き続き出雲駅伝3区、全日本大学駅伝3区で区間賞を獲得し、その走りは年々凄みを増しているように見えます。しかし、1年時の箱根駅伝3区では11位と、本来の力を発揮できないままでした。

 その理由について櫛部監督は、コミュニケーションの行き違いを挙げました。よく使う言葉でも、受け取り方が変わってしまうという難しさも…。

 キムタイは「非常に真面目」だといい、練習に対して常に真摯に取り組んでいます。「任された区間を走るだけ」「チームに貢献する走りをするだけ」という言葉からは、日本の職人のような雰囲気も感じさせます。

 チームに来た当初はキムタイの力が抜けていましたが、今は斎藤と勝負をして負けることもあるそう。チーム内のライバル関係とも言える二人は、切磋琢磨しあいどんどん実力を高めていっています。

少し出遅れても、キムタイが先頭に立ってくれるという信頼を持てる存在になっている ©️Yuki Suenaga
少し出遅れても、キムタイが先頭に立ってくれるという信頼を持てる存在になっている ©️Yuki Suenaga

 毎年はっきりと目標を決める櫛部監督ですが、昨年度チームを引っ張った強力な4年生が抜け、今シーズンの当初は自分たちの立ち位置がなかなか見えてこなかったと話します。春先に暫定として置いたのは「3大駅伝7位」の目標。そこから夏合宿を経て上方修正をし、出雲駅伝では目標を2位と置いて臨みました。しかし序盤から空回りし7位に終わり、全日本大学駅伝での目標は5位。アンカー区間で早稲田大学に抜かされ目標達成には1歩及ばず、チームには悔しさが残りました。この雰囲気を櫛部監督は前向きなものと捉えます。

「少し前でしたら、シード権を取れたら『良かったね』という風潮がありました。しかし今回は自分たちが狙った目標に届かず、選手たちが悔しさを感じています。今後につながるなと思っています」

 確実に上位校常連へと変わってきているチーム。飾ることなく現状をお話しいただきました。

 動画ではほかにもさまざまな話題について語っています。

・斎藤が出雲駅伝1区で「共倒れ」になってしまった相手
・低酸素トレーニングばかりではいけない?
・キムタイと接する上で学んだこと
・全日本大学駅伝で見えた課題
・上位校とのメンタルの違い
・チームにはなぜか「箱根駅伝1区タイプの選手が多い」
・キャプテン・平林樹の姿勢
・上下関係がなくなってきた時代。櫛部監督の時代は…?

 チームスローガンに「『進化と挑戦』もっと速く、もっと強く、もっと楽しく」を掲げて臨む今シーズン。「挑戦をしていきたい」と話す櫛部監督のロングインタビュー、ぜひご覧ください。
(12月4日取材)

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photograph by Yuki Suenaga

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