アーノルド・“レッド”・アウアバックはかつて、「ボストン・セルティックスは単なるチームではなく生き方だ」と言った。コーチ、GM、そして最後は会長としてセルティックスに56年間関わり、セルティックスの伝統を作り上げた。アウアバックにとってのセルティックスらしい“生き方”とは、シンプルで、古き価値観や伝統を大切にし、そして何より並々ならぬ競争心で相手を叩きのめすこと。アウアバック自身、コーチとして9回、GMとしてさらに4回、セルティックスを優勝に導いている。
そんな彼が、負けることと同じくらい嫌がっていたことのひとつにチアリーダーがあった。バスケットボール純粋主義者のアウアバックにとって、チアリーダーは試合の本筋とは関係のない余分なものに過ぎなかったのだ。最近のNBAではチアリーダーが華やかな踊りで観客を楽しませるのが当たり前になってきたが、セルティックスはアウアバックが「わしの目が黒いうちはだめだ」と頑なに反対していたこともあり、唯一チアリーダーとは無縁だった。──今シーズンまでは。
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