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【アルゼンチン代表】リオネル・メッシと“敗者の印”が静かに示した母国の人々へのメッセージとは?《W杯深層レポート》

2026/07/25
大会期間中に39歳となった稀代のクラックは、いまなお世界最高峰のクオリティを持つと証明。驚くべきパフォーマンスを発揮し続けたものの、連覇は叶わなかった。だがアルゼンチンの10番は、数字では言い表せない、堅い絆の中心にいたのだ。(原題:[涙の真相]メッシ「誇らしき銀メダル」)

 完敗だった。それでも、アルゼンチンのサポーターは試合後も歌い続けた。

 リオネル・メッシは頬を伝う涙を拭うこともなく、その光景をじっと見つめていた。首から下がるのは、準優勝の銀メダル。彼がこのメダルを外すことなくピッチを去ったことには、大きな意味があるのだ――。

 今回、自身最後となるW杯で決勝を戦ったのがメットライフ・スタジアムだったことは、ある種の運命だったのかもしれない。この会場には強烈な思い出がふたつある。

 ひとつは2012年6月9日、ブラジルとの親善試合で4-3の勝利をもぎ取った時の歓喜。大接戦となったあの試合で、メッシは代表での2度目となるハットトリックを達成し、なおも懐疑的な視線を向けていた母国の人々を黙らせた。

 もうひとつは'16年6月26日、コパ・アメリカ・センテナリオ決勝でチリに敗れた屈辱。あの日、PK戦でも失敗したメッシは憔悴しきった表情でミックスゾーンに現れ、突然代表引退を宣言した。

「これで4度目の決勝敗退だ。しかも3年連続だなんて本当に悔しい。僕たちは全力を尽くして勝とうとしたけれど、もう終わった。今、頭の中にある考えはただひとつ、僕にとっての代表チームは終わったということだ。僕が身を引くことを望んでいる人はたくさんいると思う。決勝まで辿り着くだけでは満足できないだろう。それは僕たちも同じ気持ちだ」

 当時アルゼンチン国内では代表への批判が高まっており、キャプテンとしてあと一歩でタイトルを逃し続ける現実に、メッシは誰よりも責任と重圧を感じていた。

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photograph by Kiichi Matsumoto / JMPA

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