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《初老ジャパン》「一緒に釣りに行く仲なんです」大岩義明がギリギリで得た仲間と“メダルへの予兆”とは?「4人で硫黄島を訪ねる予定」【インタビュー】

2025/01/04
パリで銅メダルに輝いた総合馬術団体の大岩義明
パリでは何かあるぞ――。東京五輪からの苦難の日々を乗り越えた日本馬術の第一人者は、そう思えるほどの境地に達していた。硫黄島に散った先駆者から92年。ついに新時代の扉を開けた快挙までの道程を振り返る。(原題:[「初老ジャパン」の内幕]大岩義明「苦境で感じたメダルへの予兆」)

 パリ五輪の総合馬術団体で銅メダルに輝いた「初老ジャパン」。

 48歳の大岩義明、41歳の戸本一真、38歳の北島隆三、39歳の田中利幸の4人がもたらした92年ぶりの快挙に至る道のりは、崖っぷちの連続だった――。

 総合馬術は、馬場内で定められた歩き方などを披露する「馬場馬術」、自然に近いコースで障害を飛越しながら走る「クロスカントリー」、スタジアム内での「障害馬術」の3種目を3日間かけて行う競技だ。

 2001年の春からヨーロッパに移り住み、トップレベルで競技を続けてきた大岩を筆頭に、ほかの3人も10年ほどあとに渡欧し、世界中の大会で腕を磨いた。4人が初めてチームを組んだのは2018年の世界選手権。ここで強豪国相手に4位という好成績をおさめた。

「それまで、日本にとって五輪のメダルは夢物語に近い部分もあったのですが、我々は東京五輪でメダルを目指すと言っても恥ずかしくないところまで来ているんだ、と実感することができました」

 2008年の北京大会から5大会連続で五輪出場を果たした、チーム最年長の大岩はそう振り返る。メダルが「夢」から「目標」となり得た要因はなんだったのか。

「東京五輪に向け、馬術界をあげて強化をしたことですね。地元ですし、会場となる馬事公苑はJRAが運営している。そこで結果を出すために、馬を提供してもらうなど力を入れてくれたんです」

 大岩がパリ五輪で騎乗したMGHグラフトンストリートという馬名の前の「MGH」は生産牧場を表し、戸本のヴィンシーJRAなどの「JRA」は、日本馬術連盟経由でJRAが購入した馬であることを意味する。馬術においては1人の選手が2頭を所有、管理することも珍しくない。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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