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《99歳の記者を偲んで》柔かな眼差しでサッカーの本質を射抜く――賀川浩さんは日韓W杯で言った「日本がだらしないという人もおるけれど…」

2025/01/08
W杯は10大会を取材。残した膨大な原稿はWebサイト「賀川サッカーライブラリー」にまとめられている

 小さな手にくるんだ甘いパンを記者室で静かに口に運ぶ。そんな姿を覚えている。気がつくと、つい、その人の柔かな顔を追ってしまう。

 賀川浩さんはサッカー報道のまさに生きる伝説であった。

 16歳の釜本邦茂の「ボールのバウンドに、ヒザを上げて受けたときの感じ」(賀川サッカーライブラリー)に将来を予感した。海外修業志望の名も無き岡田武史少年にはまず高校へと諭した。無数の試合を見ずに見つめた。師走5日、99歳で世を去った。

 勝手に「師」と思っている。インタビューを何度か。たまに現場で挨拶を交わす。近しくはないのに「思考の芯」を授けられた。

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photograph by Tadashi Shirasawa

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