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「トータルパッケージこそ王者への道」小塚崇彦が振り返る平昌五輪シーズンの論点「集中しているときの本田真凜選手はすごい」<インタビュー/2018年>

2018.02.17 PyeongChang Winter Olympics
4年に 一 度の大舞台、平昌五輪は男子が羽生結弦、女子はアリーナ・ザギトワの金メダルで幕を閉じた。五輪イヤーの今季は 一 体どんなシーズンになったのか。'10年バンクーバー大会を経験した小塚崇彦が解説する。(初出:Number PLUS FIGURE SKATING TRACE OF STARS 2017-2018小塚崇彦 「トータルパッケージこそ王者への道」)

 平昌五輪では男子は羽生結弦、宇野昌磨が表彰台の1、2位を占め、女子はロシア勢が激しい優勝争いを繰り広げた。オリンピックイヤーの今季を小塚崇彦はこう表現した。

「『これがフィギュアスケートなんだ』とあらためて感じたシーズンでした。男子は4回転ジャンプに象徴されるように技術の進歩が著しかったですが、オリンピックで勝ったのは、ジャンプやステップ、スピンなどの要素1つ1つの技術を高め、トータルパッケージとして戦った羽生選手でした。同様の意味合いで、女子で印象的だったのがイタリアのカロリーナ・コストナー選手。オリンピックでメダルには届きませんでしたが、シーズンを通じて上位で戦いました。ジャンプの調子を戻してきたことも得点が出た要因ですが、彼女の本質はそこではありません。スケートももちろんきれいだし、しっかりした土台の上で、どこをどう写真で切り取っても美術館で見る彫刻のようなポジションになれるすごさがありました。ファイブコンポーネンツはほかの選手と同じ点数をつけてはいけないレベル。フィギュアスケートは、ただ跳べばいいわけではないのだとあらためて実感しました」

©Asami Enomoto
©Asami Enomoto

 さらに羽生の強さにあらためて言及する。

「羽生選手がやっていたことは、オリンピックの究極、とでも表現してよいのではないでしょうか。それが何を意味しているかというと、他の選手がどうこうではなく、自分を信じて自分の演技に集中すること。オリンピックでそれができるところに強さがありました。また、怪我があったとはいえ、勝つことができたのはソチオリンピックのあとに積み重ねてきたからこそ。今季初戦となったオータムクラシックのショートプログラム(SP)で、いきなり自己ベストを出したのが象徴です。僕は、オリンピックイヤーが本番だとしたら、それまでの3シーズンは、シーズンオフという考え方もあると思うんです。つまり羽生選手は、3年のオフをかけてオリンピックへ準備する作業ができていた。その2つの点で強さがありました」

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photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

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