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「金髪と『yeaboii』で勘違いされるけど…」日本人妻が語る中島イシレリら海外出身“桜の戦士”の素顔 <ヴァルの妻は「売り込み電話」も>

2024/05/04
現在はコベルコ神戸スティーラーズに所属する中島イシレリと家族。2019年W杯では大きな注目を集めた
日本中を大いに盛り上げたジャパンにあって、外国出身の選手たちも際立った存在感を見せた。祖国を離れ、日の丸をつけて戦う道を選んだそんな男たちを支えているのが家族、そして愛する妻だ。長年に渡って苦楽をともにしてきたパートナーが、彼らの知られざる一面と熱い想いを明かす。(初出:Number PLUS 完全保存版 ラグビーW杯2019 桜の証言。[桜の戦士の家族愛]日本人妻が語る素顔。 中島イシレリ/ヴァル アサエリ愛/レメキ ロマノ ラヴァ)

 ラグビー日本代表が、W杯決勝トーナメント初進出をかけたスコットランド戦前日の10月12日。中島理恵子さんは2人の子どもとともに、日本代表が宿泊する都心のホテルに滞在していた。夫である中島イシレリと家族の時間を過ごすためである。

 午前11時前、中島が部屋に姿を見せた。

 トンガ出身の中島は、短髪だけではなく、ヒゲまで金色に染めた186cm、120kgの巨漢である。これから決戦の地となる横浜に移動するのだという。今年に入り、日本代表は240日間におよぶ合宿を行っており、家族とは離れ離れの日々が続いた。その集大成となる戦いに向かう父に、3歳の長男ロニーくんが問う。

「ラグビーに行くの?」

「うん、もう行かなきゃ」

 中島はそう言うと、ロニーくんと5月に生まれたばかりのテルくんの頬に順番にキスをし、理恵子さんにハグしてから、家族の部屋をあとにした。理恵子さんは語る。

「イシと知り合うまではラグビーを見る機会はほとんどありませんでした。でも、実際に何度も観戦してみて、リスペクトにあふれるスポーツだと思うようになりました。観客は敵味方関係なく、いいプレーに拍手する。日本とアイルランドの試合では、アイルランドの選手たちが日本代表をたたえて、花道をつくって送り出してくれていましたよね」

 でもね、と理恵子さんは冗談めかした。

「みんな試合中と日常のギャップが大きいんです。イシも素直で正直なんだけど、無邪気なところがある。携帯や財布をよくなくすし、上の子とアイスを食べに行ったら帰ってこないし……。ラグビーしていないときはお茶目な大男って感じです」

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photograph by Nanae Suzuki

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