世界の強豪と渡り合うために責任重大な日本代表キャプテン。強烈なリーダーシップで引っ張るのか、和を重んじるのか。中には、時とともにスタイルを変えていくタイプも。サムライブルーを牽引してきた過去30年の歴代主将をマトリックス上に並べると、ある傾向が浮かび上がってきた。
多士済々の顔ぶれがズラリ――とは日本代表の歴代キャプテンだ。1992年のプロ化以降、柱谷哲二から現代表の遠藤航に至るまで、10人が統率者のリストに名を連ねる。
偶然か必然か。いわゆるカリスマ的存在にキャプテンの腕章を委ねたケースはほぼない。数少ない例外はジーコ・ジャパンにおける中田英寿くらいだろう。
カリスマを絶対エースと言い換えてもいい。日本代表ではエースとキャプテンをそれぞれ独立して存在させる二重構造が慣例となってきた。負荷や重責の一極集中を回避するための知恵かもしれない。
共通点は経験豊富な年長者、過半数はセンターバック。
多様なキャラクターを脇に置くと、わかりやすい共通点に突き当たる。歴代リストにキャリアの浅い選手が見当たらないことだ。いかにも日本的な“年功序列”の感がある。保守的に映るが、イタリア代表でも最もキャップ数の多い選手にキャプテンを任せる伝統がある。戦歴自体にそれ相応の値打ちがある――という考え方だ。
年齢と国際経験は必ずしもイコールではないが、数々の修羅場をくぐってきた歴戦の勇士は総じて集団内の年長者になりやすい。オランダ人のハンス・オフトを皮切りに、ブラジル人のパウロ・ロベルト・ファルカン、加茂周という3人の指揮官に仕えた柱谷はその典型だろう。
異例と言えば、数多くの先輩たちを差し置き、20代半ばでキャプテンに抜擢された長谷部誠である。当時の指揮官だった岡田武史の企図を測りかねる向きもあったが、'10年南アフリカW杯から3大会連続でキャプテンの大役を担い、2度のベスト16入りに大きく貢献することになる。岡田の慧眼と言っていい。
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photograph by Koji Asakura / Asami Enomoto / Naoya Sanuki / Takuya Sugiyama / Kazuaki Nishiyama / Kiichi Matsumoto