#1091
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「理想のキャプテン像は、ない」日本代表・遠藤航が歩む“自信”と“過信”の狭間《敗退は「自分のせいだ」とは言わない》

2024/02/16
長いキャリアでいつもキャプテンを任され、戦う姿勢を貫くことでその責任を果たしてきた。W杯優勝を目標に掲げた日本代表の新リーダーは、アジア杯敗退を受けてどう舵取りをしていくのだろうか。

 日本代表のキャプテンになってから何度も聞かれたという。

「理想のキャプテン像は?」

 気の利いた言葉の一つや二つでも並べれば質問者を喜ばせられたかもしれない。だが、遠藤航はそうしてこなかった。それは相手にとっても自分にとっても不誠実になってしまうからだった。

「正直に言うと、ないんですよね。むしろ、それでいいと思っている。理想を作るのは僕ではなくて、周りじゃないですか。僕が理想を作ってそれにこだわってしまえば、チームの理想とは違ってきてしまうかもしれない。だから、キャプテンが終わったときに『理想的だったね』って言われればそれがベストかなと思います」

普通のことを普通にやり、誰よりも自分の姿勢で示す。

 遠藤が「日本代表キャプテン」として最初の務めを果たしたのはチーム内でのスピーチだった。

「日本代表がどうやったらワールドカップで優勝できるか、一人ひとりが考えて行動していきましょう」

 2023年6月、カタールワールドカップ後の森保ジャパンのキャプテンとして指名を受けたとき、選手の前に立って、そう口にした。

「ワールドカップ優勝」は新しい日本代表の目標になった。

 実はこの目標自体は、その3カ月前の代表ミーティングで、森保一監督の口からも語られている。

 監督がすでに話をしているのに、「優勝」とあらためて口にしたのはなぜ? 何か深い意図があるのかと確認したことがある。

「若い選手たちを含めて、優勝を目指すべきという意見が多かった。だったら日本全体がそう思った方がいい」

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Kiichi Matsumoto

0

0

0

前記事 次記事