イラン戦の後半48分、日本の左サイドからジャハンバフシュがロングスローを投じると、伊藤洋輝がこぼれ球を大きくクリアした。しかしボールを拾った相手に日本はプレスをかけられない。高速クロスを蹴り込まれ、毎熊晟矢がモヘビに競り負け、最後は板倉滉がヘディングを空振りしてPKを与えてしまった。「史上最強の日本代表」の戦いはベスト8で終幕した。
試合後、森保一監督は「延長での勝負になることも考えていた」と振り返った。監督としてもプランを練っている最中、すべてを出し切る前に事故が起きた感覚だろう。
だが、不運という言葉では片付けられない。ロングスローから始まった17秒間に日本の敗因が凝縮されていたからだ。
敗因1・選手への過度な信頼。
今大会を振り返ると、敗因は3つ挙げられる。1つ目は「選手への過度な信頼」だ。
たとえば板倉のコンディションは万全ではなかった。10月下旬に左足首を手術して実戦不足だったこと以上に深刻だったのは、約2週間続いた下痢の症状だ。一時は体重が数kg落ち、グループステージ第3戦のインドネシア戦はベンチ外となった。
イラン戦では相手FWの動きについて行けず裏を取られるシーンが目立ち、前半にイエローカードを受け、最後にPKを与えてしまった。板倉は「ピッチに立ったら(体調不良でも)関係ない」と自分を責めたが、任せられると判断したのは森保監督である。
右サイドバックの菅原由勢の不調も「信頼」が関係しているだろう。
元日のタイ戦に向けたメンバー発表で、森保監督はこう説明した。
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photograph by Kazuhito Yamada (KAZ Photography)