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イランの「圧」で日本代表に芽生えた恐怖心…森保監督の“成功体験”が交代策を縛った?<アジアカップ・佐藤寿人の敗因分析>

2024/02/15
後半終了目前、ボックス内でのスライディングに対し笛が鳴る。ファウルを犯した板倉(右)は芝に顔を突っ伏した
日本らしさを発揮し、鮮やかな連係から見事に先制した、まではよかった。その後劣勢に立たされ、やがて追いつかれ、終了間際に痛恨のPK献上……。逆転負けの要因は何だったのか。元日本代表FW佐藤寿人氏が解説する。

 優勝候補の本命だった日本代表はアジアカップでベスト8敗退に終わった。

 結果のみならず内容も伴わなかったと言わざるを得ない。グループステージはイラク代表との第2戦で1-2と敗れて2位通過。バーレーン代表と戦ったラウンド16こそ3点を奪って快勝したものの、イラン代表との準々決勝は先制しながらも後半にロングボールで背後を狙われ、攻撃では相手のハイプレスに苦しめられて後手に回り、かつ交代カードもうまくハマらないまま2点を失って逆転負けを喫した。

大会を通じて「不安定な守備」が敗退の要因になったとも言える。5試合8失点は6試合7失点の'07年大会(4位)を上回るワースト記録に。準々決勝イラン戦の「先制しての逆転負け」はA代表で参加した'92年大会以降初となる
大会を通じて「不安定な守備」が敗退の要因になったとも言える。5試合8失点は6試合7失点の'07年大会(4位)を上回るワースト記録に。準々決勝イラン戦の「先制しての逆転負け」はA代表で参加した'92年大会以降初となる

日本が少しでも弱みを見せたら突いてくる「怖さ」があった。

 バーレーン戦まで現地でピッチレポーターを務めた日本代表OB佐藤寿人氏の目に日本の戦いはどのように映ったのか――。

「日本もイランも中2日での戦いでしたが、疲労感はシリアとPK戦までもつれ込んだイランのほうが強いだろうなと思っていました。実際、前半は日本が我慢強く試合を進めた印象です。守田英正が先制ゴールを挙げた場面は、1トップに入った上田綺世のポストプレーも素晴らしかった。左サイドにいた守田からパスが入る際、タイミング良く顔を出して(中に入ってきた)守田をシンプルに使いました。試合を重ねながらチームからの信頼を深めていました。

 前半のイランの出来が良かったとは到底言い難い。それでも自陣でボールを奪ってつなぎながら前に出て、板倉滉からイエローカードを引き出したところなどは『怖さ』がありました。日本が少しでも弱みを見せたらそこを突いてくる感じがあり、やはりプレーの質はバーレーンより一段階上のレベルにいるチームでした」

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photograph by Kiichi Matsumoto

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