今年度(2019年度)の箱根駅伝は東海大を始め、青学大、駒大、東洋大、國學院大、早大など有力校がひしめき合い、“カオス”だと言われている。確かに出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに競り合う場面が多く、全日本では5回もトップが入れ替わった。
東海大・両角速監督はその理由について、笑ってシューズの影響を示唆した。
「大学間の力が拮抗したのは、(ナイキの)『ヴェイパーフライネクスト%』の力が大きいんじゃないですかね。あれを履くと全然違うし、うちも含めてみんな格段に力が上がってきましたからね」
だが、ライバル校は箱根駅伝における東海大のことをこう思っている。
優勝候補の大本命――。
連覇を狙う東海大がそう言われるのは、それだけの根拠があるからだ。
「黄金世代」と呼ばれる4年生の4人(鬼塚翔太、阪口竜平、關颯人、館澤亨次)を中心とした分厚い選手層、前回の箱根駅伝での優勝経験、そして今年度の全日本大学駅伝を制した自信。3拍子が揃った東海大は今、勢いに乗っている。
箱根駅伝に向けていい流れが生まれたきっかけは、出雲駅伝での敗戦だった。そのレースで両角監督は、故障を抱えていた阪口、鬼塚を起用した。チーム内には「絶好調」の小松陽平と郡司陽大がいたが、両角監督は出雲初出場となるコンビより、経験と実績を備えた主力を選択したのだ。
タイムこそが絶対的な基準となる陸上競技の世界において、経験と実績は尊重されるべきものだ。それを考慮せず、監督の勘だけで選手を選べば「結局は勘かよ」と思われ、選手の練習への取り組みに影響が出る可能性がある。出雲駅伝では両角監督が「小松を使うか迷った」と悩んだ末の主力起用だったが、それが裏目に出て4位に沈んだ。
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