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「母国でレストラン経営も」ダニエル、モグス、ベンジャミン…あの留学生ランナーは何してた?《箱根駅伝“区間”の物語:1区&2区》

2023/12/26
区間賞も棄権も経験した箱根路を「よくも悪くも個性を出せた4年間だった」と振り返る
ランナーが走るたびに物語が生まれた。留学生たちの大激走や悲劇のブレーキ。坂にも負けず、風にも負けず韋駄天たちが足でつづった箱根名場面の襷リレー。それでは1区からスタート!(初出:Number992号[217.1㎞のコラムリレー]10区間を繫ぐ涙と笑いの物語。)

1区 大手町~鶴見 「茶髪にサングラスで疾走した異端児」

 法大の徳本一善は箱根駅伝に現れたトリックスターだった。2000年大会の1区、「箱根のランナーでは初めて」というサングラス、さらに茶色く染めた髪の毛。異色のいでたちで驚かせただけでなく、走れば本物の速さがあった。

 スタートから勢いよく飛び出すと、2位に1分以上の差をつけて区間賞。2区の坪田智夫も区間賞で続き、法大は3区まで首位をキープした。順大と駒大の紫紺対決の間隙を縫って、“オレンジ・エクスプレス”は鮮烈な印象を残したのだった。

「髪は高校卒業前から染めていたし、大学では1学年上の為末(大)さんも金髪にピアスだった。箱根では僕は異色だけど、法大のくくりで見れば僕だけじゃなかった」

 自分にとっては当たり前の感覚。でも周囲はそうは見なかった。まず予選会に金髪で出てみたらOBからも苦情が寄せられた。

 当時から自らのウェブサイトを立ち上げ、デザインしたTシャツの販売もしていた。「ちょっとおかしなヤツだったかもしれない」と不惑を迎えた今ならそう思える。だが20歳の反骨心と自己顕示欲は、「だったら結果を出してねじ伏せる」と憎まれ役を自認した上で、スタイルを貫くことを選んだ。

 3年時は髪をさらに鮮やかなオレンジ色に染めて、花の2区で区間2位となった。ところが、主将かつエースとして優勝の期待を背負った4年時には大会前のケガがたたり、肉離れを起こして途中棄権。「非国民みたいになりました」と話すように掲示板は大炎上した。

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photograph by Getsuriku

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