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「自分に期待しろよ」「お酒を飲むぐらいで…」阪神・大竹耕太郎(28)を変えた和田毅と石川雅規の言葉<今季12勝・現役ドラフトの星>

2023/10/07
昨年導入された新制度の最大の成功者と言えばこの男しかいない。関西に新天地を求め、縦じまのユニフォームに袖を通した途端に拓けたキャリア。その開花の理由を探る――。

 クリスマス・パーティーのプレゼント交換を思い浮かべてほしい。参加者はセ・パ12球団。ルールはちょっと変わっていて、「現役ドラフト特別仕様」のため中身が分かっている。阪神は、ソフトバンクが用意した箱の一つを迷いなく選んだ。「大竹耕太郎」をどうしても欲しかったからだ。

 その選択は間違いではなかった。27歳で今シーズンを迎えた左腕は、初の2桁勝利を挙げ、18年ぶりの優勝に大きく貢献した。優勝を争った広島にはV決定の9月14日まで6戦5勝の無双状態。球宴にも出場した。ここ数年はメッキが剥がれ落ちたように低迷していたサウスポーは、実は、どでかい金塊だった。

 現役ドラフトは昨年12月に球界活性化を目的として初めて実施された。各球団が支配下選手2人以上の名簿を提出。完成したリストの中から1人ずつ希望選手を挙げる。A球団が2選手を出したとして、イという選手に2票、ロという選手に1票集まれば、A球団は合計3票。その得票数1位の球団が最初の指名権を手にできる。2番目以降の順番は、神のみぞ知る。選手を取られた球団に指名権が移り、まだ選手を取られていない球団から選手を選ぶ。それを繰り返す。

 日本ハムが、いの一番の権利を得て西武の松岡洸希をコール。次に西武が阪神の陽川尚将を選んだことで、タイガースに3番目での指名が巡ってきた。

 阪神がソフトバンクの大竹に惹かれていたのは、二軍戦で毎年抑えられていたことが大きい。緩急自在の投球を前に、'19年からの通算22試合で防御率1.56とお手上げだった。球団には、力よりも投球術で勝負する傾向が強いセ・リーグの野球が水に合うという見立てもあった。嶌村聡球団本部長は「岡田(彰布)監督を含め、全会一致で」、その名を告げた。

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photograph by Takuya Sugiyama

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