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「外に立つ10番とは見えてる世界が違う」“判断の男”流大の言葉とプレーを読み解く<スクラムハーフを徹底解剖>

2023/10/03
「司令塔」と言われるスクラムハーフの役割とは何なのか。W杯で代表の「9番」を担った男へのインタビューと、ともにサントリーの攻撃ラグビーを操る同僚の証言で、その深くて、広い仕事の内容を読み解いていく。(初出:Number996号[スクラムハーフを徹底解剖]流大の操縦術を見よ。)


 W杯の熱狂冷めやらぬ中で迎えた、トップリーグ開幕戦。王座奪回を期すサントリーサンゴリアスの相手は、同じ府中を拠点とする東芝ブレイブルーパスで、ライバル同士の拮抗した試合が予想された。

 だが、サントリーは前半にFL西川征克が一発退場を命じられ、約50分間を14人で戦う苦しい試合展開となってしまう。

 後半5分、敵陣22m内側のマイボールラインアウト。そう多くはないチャンスをSHの流大は見逃さない。

 押し込んだモールが崩れると、流はすぐさま新戦力サム・ケレビにパスを出す。獰猛なCTBは3、4人に掴まれても倒れる気配がない。流はそれを見越してか素早くサポートに駆け寄って再びボールを預ると、CTB梶村祐介へ回し、FB松島幸太朗へと繋がった。速さで日本を沸かせたフェラーリは、今度は技でと言わんばかりに大外に残っていたWTBテビタ・リーへ“股抜き”のロングパス。トライが決まった。

 その日のスポーツニュースでは松島の股抜きばかりが注目されたが、チームが劣勢の中で、スペシャルな能力を持つアタッカー陣をいかに使うかという、流の「判断力」が生かされた同点トライだった。

 流はW杯の全5試合でジャパンの「9番」を背負い続けた。サントリーでも主将を任されて4季目となる。日本代表で、そしてリーグ屈指の強豪クラブで重宝される能力と役割とは一体何なのだろうか。

 サントリーは今季も伝統の「アタッキング・ラグビー」を掲げる。相手が優位であろうとも、自陣深くからでも、攻めるチャンスがあればリスクを背負ってパスをつなぐスタイルだ。BK陣の層が増したミルトン・ヘイグ新監督体制では、オフロードパスを積極的に使用するなど、よりアグレッシブに攻撃を追求している。

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photograph by Nanae Suzuki

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