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本物の名将は、選手を私物化しない。~バスケ・能代工業で全国を33度制した加藤廣志~

 まれなる表現者、友川カズキに『明るい耳』という曲がある。8年前にリリースされたアルバム、『青いアイスピック』に収められている。


〈まぶた閉じて友は草木の中に居る/雨の日にはやおら歌い…〉


 そんな詞が進むと、唐突のように、次の一節が飛び出す。語尾に「!」がつく迫力。いっぺん聴いたら忘れられぬ叫び声とともに。


〈先生、加藤先生〉


 このときすでに還暦の歌手の魂に、浪人後入学の高校1年、16歳の春から「先生」は棲み続ける。

 加藤廣志。能代工業高校バスケットボール部を率いて全国制覇が実に33度、「低さ」の鬼であった名将は、いちばん高い場所へとついに招かれた。3月4日に死去。80歳だった。

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photograph by KYODO

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