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老匠の貴重な証言で辿る、 鷹狩の技の1世紀。 ~花見薫・著『天皇の鷹匠』~

2014/02/26

 海辺の大リーグ球場がカモメの群れを追い払うため動物派遣会社の鷹を臨時職員として契約、と伝える外電。九州の町で女子高生のペットの鷹でカラス追放に成功、と報じるTVニュース。21世紀の今も、世界中で鷹狩の技は生きている。

 鷹を腕に乗せた埴輪があるが、弥生時代はともかく、鷹狩は信長、家康が夢中になった戦国期から遊びの要素が加わった。江戸時代の鷹狩はステータス・シンボルとして上級武士に愛好された。食糧獲得の実用技から“スポーツ”への転換といえそうだ。鷹狩の技は明治以後、天皇家(宮内庁)によって維持された。

 本書は15歳で宮内省(現在は庁)に鷹匠補として入省、徳川将軍家お抱え諏訪流放鷹術の16代として伝統技を守った“天皇の鷹匠”の回顧録。著者が91歳で亡くなったのは本書出版の5カ月前、貴重な証言を残してくれたのを感謝したい。

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photograph by Sports Graphic Number

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