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吹雪と雷鳴の砂丘で地獄の合宿……。
大地震の「被災地支援」も始めました。 

text by

松山貴史

松山貴史Takashi Matsuyama

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photograph byKayoko Yoshimatsu

posted2011/03/18 06:01

吹雪と雷鳴の砂丘で地獄の合宿……。大地震の「被災地支援」も始めました。<Number Web> photograph by Kayoko Yoshimatsu

鳥取砂丘をよじ登ります……砂に足がめり込みまったく進まない!!! 人間アリ地獄か!

合宿初日。吹雪の砂丘で迷子になり寒さにふるえる。

 3月某日、鳥取に向かう。

 西日本は暖かい、というのがイメージとしてあったため鳥取も暖かいだろうと楽観していた。

 着いてみると吹雪だった。

 とりあえず、鳥取砂丘に向かうも、やはり吹雪はおさまらず、むしろ激しくなっているようだった。せっかく路線バスに乗って鳥取砂丘まで来たのだから走ろうと思い、砂丘を彷徨っていると、暗くなってきたこともあり迷子になってしまう。吹雪の中を1時間ほどさまよった後、明かりを頼りに走っていると砂丘から脱出できたが……バスが無くなっていた。

 東京だと18時でバスが止まることは無いのだが。

 お金も十分に持ってきていなかったので、やむなく走って下山(鳥取砂丘は山の上のような所にあるんです)。

「砂丘会館」の売店の方に道を聞くも「歩いて帰るのは信じられない」と言われる。しかし、仕方ない。

 とにかく歩くも、まったく方角がわからない。

 途中、「←京都|鳥取→」という標識を見つける。ここはどこだ? 民家すら見えない。光も見えない。自販機でココアを買っても一瞬で冷える。

 地元住民らしき人に道を聞くと、こんなとこうろうろしてたら死ぬぞと怒られる。実際寒くて死にそうだった(自分はサハラ本番夜用の格好、鳥取は0度)。砂丘から1時間ほどさまようと、まぶしいばかりに明かりを放つコンビニを発見し、なんとかビジネスホテルまで帰りついた。

命からがら下山に成功。精神修行としての経験値は上昇!?

 サハラ砂漠対策で来たつもりが、精神修行になってしまった。しかし、私はこれを無駄とは思っていない。というのも、サハラマラソンは体力の戦いではなく、メンタルの戦いなのでは、と最近思うようになったからである。

 過去の参加者や砂漠新年会に来られていた方々の年齢を見ていると、若い人はほとんどいない上、飯田徳子さんという74歳で今年連続4回目の出場を考えている方の存在を知った。それからはスタミナのため、というよりも精神修行として雪の日も雨の日もどんな日も毎日最低10kmを課してきた。そういった観点から見れば、この日の「修行」は大いに経験値を稼げたと思う……というか、そう思いたい。

【次ページ】 合宿2日目。南北2.4km、東西16kmの砂丘を走り回る。

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