博多の人・王貞治BACK NUMBER
「僕ら選手は『くそーっ』と思っているのに…」ホークス王貞治は恥辱の“生卵事件”をどう語るか「ただのファンなら、卵なんか投げないんだよ」
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph bySankei Shimbun
posted2026/07/10 11:06
ファンが騒動を起こし、日生球場で待機する王(右)。この後、バスに乗り込むも卵を投げつけられるという屈辱が
監督として、チームを奮い立たせるために、あえて、わざと“逆”を言ったんですか?
リーダーとして、選手たちに刺激を与える1つの材料とする考えもありますよね?
城島の言葉を借りての質問を、王にぶつけてみた。
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「だって、ファンに向かって何を言ったって、ちっとも変わらないからね。だからむしろああいうことが、奮起させてくれたんだと。スーッと黙って帰られちゃって、もう球場にファンが来なくなっちゃったら、我々はアウトなんだ。
横断幕を掲げられたりするのも、すべてこっちが悪いっていうかね、彼らのニーズに応えていないからなんで、彼らは悪いわけじゃないんですよ。我々が、彼らの期待に応えていない。彼らはやっぱり、監督も変わってチームも変わってくれるんだろうと思っているのに、ちっとも変わらない。だから、本当にやるかたない、ということで、僕にぶつかってくるわけですよ」
ファンの怒りから逃げなかった
あんな奴ら、放っておけ。気にするな。あれがファンの総意じゃない。そんな愚痴でも互いに言い放ち、いやな思い出を忘れ去り、やり過ごすのが普通の“締め方”だろう。
しかし、王はそのファンの怒りから逃げず、それを一身に背負ったのだ。
「とにかく、あの現象をどう受け止めるか、っていうのは、俺たちが悪いからこうなったんだ、っていうことですよ。怒っている彼らが悪いんじゃないんです。そういう行動にさせちゃう自分たちが悪いんだ。だから、自分たちはやっぱり『勝つ』ということで、お返しをするしかない。そういうことなんですよ」
〈つづく〉

