博多の人・王貞治BACK NUMBER
「僕ら選手は『くそーっ』と思っているのに…」ホークス王貞治は恥辱の“生卵事件”をどう語るか「ただのファンなら、卵なんか投げないんだよ」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph bySankei Shimbun
posted2026/07/10 11:06
ファンが騒動を起こし、日生球場で待機する王(右)。この後、バスに乗り込むも卵を投げつけられるという屈辱が
「絶対に外したくない出来事だったからです。こんなことが本当にあったというのは事実なので、ホークスのユニホームを着てプレーする以上は、こういう歴史というのは知った上で、ウチの組織にいてもらいたいと思いますから」
決して、目を背けてはいけない。それだけ重い事実であり、小久保も、城島も、次世代の選手たちにその“王からの教訓”を伝えていこうとしているのだ。
あの時、私は阪神担当の記者だった。王の乗ったバスに生卵がぶつけられたというセンセーショナルな事件を報じたスポーツ紙を見ながら、ふと、別の若い記者が「これ、おもろい話ですね」とつぶやいた時、すぐ近くにいた年配の記者の顔色が変わった。
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「王さんのことをバカにするって、どういうことや?」
怒りをあらわに、その若い記者がたしなめられたシーンを思い出した。
面白半分には聞けないテーマ
「僕らがやられるのとは違うんです。世界の王がやられたんですよ」
城島の“消えない怒り”も、よく分かる。
「生卵事件」の頃、私には王との“接点”は全くなかった。しかし、2000年にダイエー担当となり、以来、王を取材させてもらう機会を積み重ねてきたことで、初めての出会いから四半世紀以上が経った今の方が、その光景を思い浮かべ、いくらファンとはいえ、よくもあの王さんに対して、そんな無礼な行動を取れたものだと、生卵を投げたファンへの呆れと怒りがこみ上げて来る。だから私も、ちょっとした談笑のときに、ふと「あの時、どんな気持ちでした?」と聞いてはいけないような気がしていた。
今回、取材主旨と企画内容を記し、広報室に提出した質問項目に「生卵を投げられた時のこと」を書き入れた。向かい合って、腰を据えて、心の準備を整えて聞く。絶対に、面白半分に聞いてはいけないと思っていた、私にとっても“重いテーマ”だ。

