- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ゾンビたばこ」有罪確定・羽月隆太郎とは何者だったのか? 広島を幾度も救った“神走塁”を伝授したのはあの盗塁王「周東さんが思い切り行け、と」
text by

赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph bySankei Shimbun
posted2026/06/05 11:01
「ゾンビたばこ」問題で有罪が確定した羽月隆太郎とはいかなる選手だったのか。彼が希望の星として輝きを放っていた時期を検証する
1-2と1点ビハインドの8回、無死から代走で出場すると、送りバントで二進。1死二塁からDeNAのエース東克樹が次打者・菊池に初球を投じるや、足からスライディングして鮮やかに三盗を決めた。スタンドが大きくどよめいた直後、菊池がスクイズバントして羽月が同点のホームイン。ここから流れが一気にカープに傾き、延長11回のサヨナラ勝ちに結びついたのだ。
羽月の三盗は地元メディアに「神三盗」と呼ばれ、シーズンオフの振り返り企画でも取り上げられた。NHKのインタビューに、羽月は胸を張って答えている。
「あの場面では、初球の前に二塁にけん制してくることは絶対にないと思っていました。あのバッテリー(東、山本祐大捕手)は、代走の選手が送りバントで二塁へ進んだら、初球の前にけん制をしたことが一度もないんです。僕が見た映像では一度もありませんでした」
周東佑京に教えをこうて
ADVERTISEMENT
2024年1月、羽月はソフトバンク周東佑京の自主トレに参加した。前年までの3年間教えを請うた先輩・菊池には感謝していたが、セカンドのポジションを争うライバルでもある。これからはあえて距離を置き、勝負を挑むつもりだった。
パ・リーグで2度の盗塁王を獲得し、前年のWBCでも世界一に貢献した周東は、羽月に新たな気づきを与えてくれた。最も重要なのは最初の一歩だ。スタートする一歩目の足を遠くに出せば、自然と体が傾き、二歩目の足もスムーズに出る。その瞬間には、思い切りの良さも必要不可欠だ。
「周東さんもやっぱ、思い切って行くっていう話はずっとしてましたね。それでアウトになったら、半分仕方ない、みたいな気持ちが行く勇気につながるんじゃないかなと思います」
この年、周東から教わった成果を、羽月は遺憾なく発揮した。
〈全2回の1回目/つづく〉


