甲子園の風BACK NUMBER
「今大会No.1の投手」大阪桐蔭・西谷監督もセンバツ優勝後、脱帽するほどの内容…智弁学園・杉本真滉、敗れてなお輝いた“3つの武器”とは
text by

間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2026/04/05 06:02
智弁学園の杉本真滉は今大会のセンバツNo.1投手として実力を見せた
1つ目は「速球の強さ」。1回戦で完封負けを喫した花巻東の3番・赤間史弥選手は4打数無安打、2三振に倒れた杉本の投球について、こう証言する。
「ベース盤で強さを感じるストレートで、伸び上がってくる感じがしました。バットに当たっても押し込まれてファウルになってしまいました」
準決勝で1失点の完投を許した中京大中京は、杉本が投じる高めの速球に手を出さない策を練った。安打は7本放ったが、本塁は遠かった。3打数無安打、2三振に終わった3番・神達大武選手が振り返る。
ADVERTISEMENT
「球に角度があるので踏み込んで強くスイングする意識を持って打席に入りましたが、伸びのあるストレートに押されました。高めのストレートには手を出さないことをチームで共有していましたが、浮き上がるように見えて打席に入ると手が出てしまいます。今まで対戦した投手とは明らかに球の質が違いました」
中京大中京の高橋源一郎監督も「ストレートが強くて、バントのサインを出しても成功する確率が低いと感じました。安打を許しても失点しないところも杉本くんの良さ。得点させてもらえませんでした」と脱帽した。そして、杉本のもう1つの武器も口にした。
「スライダーの曲がりが大きくて、各打者がバットに当てることにさえ苦労していました。抜けたスライダーも打つのは簡単ではありません。ストレートに球威があり、スライダーも攻略が難しい。球種を絞っても、対応できませんでした」
左打者が手を焼くほどのスライダー
杉本の2つ目の特徴は「スライダーの変化量」だ。特に左打者は手を焼いた。神達は「スライダーは横の変化が大きくて、コースにも決まっていました。球種を絞って打席に入っても、待っていない球種を投げられる配球の上手さもありました」と話す。
神達と同様に左打者の2番・半田直暉選手は、1打席目で狙っていた外寄りの速球をクリーンヒットにした。しかし、次の打席でスライダーに空振り三振するなど、2打席目以降は変化球主体の投球に封じられた。
「映像で見てイメージした以上にスライダーの曲がりが大きかったです。背中からくるように感じるので、分かっていても体が開いてしまいます。スライダーの軌道が頭に残ると、今度はストレートに振り遅れてしまいました」
杉本の“自在な投球スタイル”とは
杉本の3つ目の特徴は「自在な投球スタイル」にある。

