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「じつは隅田が起用を知ったのは、ベネズエラ戦当日だった」WBC侍ジャパン、投手起用の“誤算”…西武・隅田知一郎が最後に語った「野球の怖さを知りました」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byAFLO
posted2026/03/22 11:01
ベネズエラ戦、2ランを許し降板する隅田知一郎を迎える大谷翔平
ベネズエラ戦での起用も、突然の方向転換だった。当初首脳陣が第2先発に予定していたのは、同じ左腕の菊池雄星投手(エンゼルス)。しかし、韓国戦で3失点した菊池への懸念から試合前夜になってプランが変わった。隅田が起用を知ったのは、ベネズエラ戦当日の練習前だったという。
「総力戦ということは分かっていますし、僕もその戦力のピースになれるようにと準備していた。こういうハードな戦いのなかで準備できてこそ、いい選手だと思うので。みんなそこを目指してしっかりやっていましたし、僕も本当にいい準備はできていたので……やっぱり(結果は)力不足じゃないですかね」
左腕は責任を背負い込んだが、1次ラウンドまでは少なくとも各試合ごとに、先発と第2先発には事前に登板予定が伝えられていた。突然の方向転換に左腕の準備が万全だったとは言い難い。そもそも、大一番で第2先発を任せた隅田、イニング途中での起用などリリーバーとして重用した藤平という2人が、いずれも追加招集の投手だったことを考えれば、投手陣の構想が当初より誤算続きだったことが浮かび上がってくる。
じつはチャーター機のなかで発熱していた
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もう一人、チーム状況に翻弄されながらも奮闘した投手と言えば、ロッテのエース、種市篤暉だろう。本来は先発投手ながら1次ラウンドでは、3月7日の韓国戦、翌8日のオーストラリア戦とリリーフで連投。計2イニングを無安打無失点、5奪三振という圧巻の投球を見せた。ベネズエラ戦では、2点ビハインドとなった7回からマウンドに上がり、自らの牽制悪送球から1点を失ったものの2イニングを投げた。
連投したオーストラリア戦から日本時間15日朝の準々決勝までは「中6日」あったが、実はその間にアクシデントに祟られていた。チェコ戦後の11日未明、アメリカに向けて移動するチャーター機の中で発熱していたのだ。
幸い大事には至らず、現地時間13日にローンデポ・パークで行われた全体練習には参加。吉見一起投手コーチはこの練習後「問題ない。大丈夫だからここに来ているので」と話しており、経過を見た上で登板には支障がなかったようだ。しかし、万全ではないコンディションのなか、世界舞台で三振を量産したそのピッチングは、種市本人の気概と研ぎ澄まされた集中力の賜物でしかなかった。
あるコーチが漏らした「井端監督は本当に大変」
大谷翔平選手をはじめ過去最多8人のメジャー組が顔を揃えた今大会、メジャー組と国内組との“格差”はより明確になった。特に影響が大きかったのは投手陣だ。MLBから招集した山本、菊池、菅野智之(ロッキーズ)の3投手は、いずれも所属先の球団から起用法や調整日程、球数に至るまで細かい制約がついていた。



