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「韓国にはないので…日本で練習しました」金メダル“韓国天才少女”を生んだのは日本のスノボ文化だった…17歳チェ・ガオン「生中継なし」韓国で賛否
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キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byXinhua/AFLO
posted2026/02/17 06:00
ミラノ五輪女子スノーボードハーフパイプで金メダルを獲得したチェ・ガオン(17歳)。じつは、日本の施設を利用して練習を重ねていた
実は韓国にはハーフパイプを滑れる場所が1箇所しかない。チェ・ガオンが「それさえも完璧な施設ではない」と漏らしたように、決して練習環境は充実しているとは言い難い。その点、日本にはいつでも練習できるマット施設がある。
「韓国には(練習場所が)ないので夏場は日本で練習しました」
つまり、滞空時間の長い高難度のエアは日本で磨かれ、生み出されたというわけだ。
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「私の国ではあまりスノーボードの人気がないので、少し残念に感じることもありました。でも今回金メダルを獲得できて本当に嬉しいですし、これをきっかけに、もっと多くの人がこの競技に興味を持ってくれたらいいなと思います」
実際、韓国ではチェ・ガオンの金メダル獲得の歴史的瞬間は地上波で生中継されなかった。有料チャンネル「JTBCスポーツ」のみの放送で、無料放送は人気競技のショートトラックへ――。ただ、彼女の“金メダル物語”は違った話でも届いていた。
絶対王者との特別な関係
大会後、チェ・ガオンがクロエ・キムと抱き合い、号泣したシーンが韓国では何度も放送された。
クロエ・キムの両親は韓国出身。チェ・ガオンの父は早くからクロエ・キムの父と親交を深めており、渡米後にはクロエ・キムのコーチ(ベン・ウィズナー氏)の指導も受けていた。初の海外遠征となったニュージーランドでもクロエ・キムと共に練習に励んだという。
「競技が始まる前、自分でも知らないうちに『クロエお姉さんが金メダルを獲ったらいいな』と思うほど、心が揺れました。あまりに尊敬する方だったので。でも、その方を飛び越えながら、嬉しくもあり、どこか申し訳ないような寂しい気持ちにもなりました。その寂しさがどこから来るのかは自分でも分かりませんが、少し複雑な心境でした」
まるで姉妹のような間柄だったからこそ、涙の抱擁は多くの人たちの胸を打った。
「クロエお姉さんが自分の競技を終えて来て、1位になった私を強く抱きしめてくれました。幸せを感じたし、クロエお姉さんを超えたんだという思いが込み上げてきて、胸が熱くなりました。クロエお姉さんはいつも良い言葉をかけてくれるメンター(助言者)なのですが、抱きしめられた瞬間、涙が溢れました」
リビーニョの雪を溶かすような熱いランを見せ、一夜で時の人となった17歳のチェ・ガオン。クロエ・キムや金メダルを争った日本勢との物語は、まだこれからも続いていくことだろう。


