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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
ダルビッシュ有「投げないならお金は受け取れない」アメリカ人には分からない“これぞ侍”仕事の流儀「自分の報酬を強化資金に」どデカいチーム愛
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2026/02/15 06:01
ダルビッシュの“侍のような心意気”は契約社会のアメリカでは理解されづらい?
つまり、ダルビッシュの望む「契約破棄」はチーム強化資金への申し出とイコールだ。リハビリ期間中は、マイナー契約か、あるいは金額を抑えた年俸で再契約する。ダルビッシュの年俸1500万ドル(約24億円)前後は、先発ローテーションを任せられるフリーエージェント(FA)選手を1人、獲得できる金額に相当する。
「前例を作られるのは困る」選手会の立場
球団オーナーの交代を進め、補強費の確保が不透明なパドレスにとって“ダル資金”はチーム強化のためにA.J.プレラーGMとしては、ありがたい話に違いない。メジャー屈指のリリーフ投手陣が揃い、フェルナンド・タティスJr.やマニー・マチャドらのスタースラッガーが全盛期のうちにナ・リーグ西地区でドジャースの牙城を崩したい。そのために先発投手の補強は、喫緊の課題だ。
ただ、ダルビッシュが「パドレス、選手会、代理人と話が詰められていない」と投稿したように越えるべきハードルがある。負傷を理由に複数年契約の残りを破棄できる、という前例を作ってしまうと今後の選手が不利になってしまうからだ。
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複数年契約を結んだにも関わらず、未来の得られるべき報酬がなくなる、という可能性は球団側には負傷者への支払いがなくなるメリットがある。しかし、選手の年俸や契約総額から報酬を得る代理人や選手の利益を追求する選手会としては、受け入れ難い。このケースが成立したら複数年契約の利点が大きく損なわれてしまう。それが今回、「契約破棄」がスムーズに進まない理由の一つだ。
実直すぎるダルビッシュ“仕事の流儀”
ダルビッシュはこれまでパドレスが、6年契約など“生涯契約”ともいえるオファーを提示してくれたこと、2023年11月に亡くなったオーナーのピーター・サイドラー氏とプレラーGMとの良好な関係があり、球団に大きな恩を感じている。公式戦で投げられない今、自身がチームに貢献できる手段は何か。年俸を返上して、そのお金で選手を補強してほしい、という願いが込められているのではないだろうか。


