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「最初は選手に気を遣ってしまって…」沖縄出身“異色のスキージャンパー”が「実績ゼロ」から代表ヘッドコーチに? ミラノ五輪の躍進を支える「対話術」
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byJIJI PRESS
posted2026/02/16 11:16
女子ノーマルヒルで銅メダルを獲得した丸山希と写真に納まるヘッドコーチの金城芳樹。もともとは沖縄出身という異色の経歴を持つ
「他の方に聞いたりもしていたけどジャンプ理論も自己流だし、これだ! というものがあるわけじゃない。ただ、選手と話してシミュレーション(平地での動作確認練習)を取って、小学生相手だけどコミュニケーションを築いていくことの大事さは感じました」
指導者3年目の2019年、高校の後輩のつながりで、実業団のイトイ産業から声がかかった。チームにジュニアの有力選手がいたことから、女子ジュニア日本代表のアシスタントコーチにも任命され、世界ジュニアなどの国際大会にも選手を帯同して参加するようになっていく。活動や肩書を見ればかなりステップアップしたようにも思える。ところが、金城はここでも壁を感じていた。
「世界を目指すジュニア選手と関わっていることで、このままじゃダメだなと。選手として特別でもなければ、いま指導者として特別にできることもない。それでもやもやしていました。仕事の方も土木業だから現場監督をやったりともちろん大変で、ジャンプも片手間。これって自分のやりたいことじゃないなと」
「これをやったら飛べるという教科書がほしい」
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本当の意味でジャンプの指導者として独り立ちをするために、金城は日本オリンピック委員会のスポーツ指導者海外研修事業に応募した。「これをやったら飛べるという教科書がほしい」という思いからジャンプの本場でノウハウを学ぼうと思ったのだ。
スロベニアのプラニツァに1年間留学した金城は、小学生から高校生までの選手が所属するクラブチームでジャンプ強国の指導法に触れることができた。
「スロベニアの選手は空中姿勢が独特でそれが持ち味なんですが、間違いなく日本よりは共通認識があります。板の開き方や角度など、小学生の頃からもう一貫してやっているんだと驚かされました」
一方で新しく作山憲斗をヘッドコーチに迎えた男子日本代表のアシスタントコーチにもなり、その理論を学び、「師匠」と呼ぶ作山とジャンプについて語り合うことで自分の中にベースとなる方法論が築かれていく。

