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カターレ富山“奇跡のJ2残留”は必然だったのか?「完全にゾーンに入っていた」左伴繁雄社長の哲学「胸を張って降格して、またチャレンジすればいい」
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宇都宮徹壱Tetsuichi Utsunomiya
photograph byTetsuichi Utsunomiya
posted2026/01/23 11:06
都内で取材に応じたカターレ富山の左伴繁雄社長
これには、湘南時代の経験が大きかったという。曺貴裁体制2年目の2013年、湘南はJ1でわずか6勝しかできず、1年でJ2に降格。しかし、その後もアグレッシブなスタイルを貫き通した。結果、2014年のJ2では勝ち点101で優勝。以降の湘南は2017年を除いて25年までJ1で戦い、18年にはルヴァンカップでも優勝した。
「あの経験があったので、やり続けて出し尽くした方が後悔は少ないと強く思っているんです」と左伴。ならば、監督に「任せる」、選手を「信じる」と言い切れるリーダー像の原型は、どこにあったのだろう?
ゴーンと岡田武史に学んだ「信じて、任せる」姿勢
左伴が挙げたのが、カルロス・ゴーンと岡田武史。前者は、日産自動車時代の左伴をクラブ社長に抜擢した当時のCOOであり、後者は二人三脚でF・マリノスの黄金時代を築き上げた、押しも押されもせぬ名監督である。
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「ゴーンさんが着任したとき、いろいろと指図されるのかと思って身構えたんですよ。でも彼が一番よく使っていた言葉は『アップ・トゥ・ユー(お前に任せる)』。『お前は何をしたい?』と聞いて、こうしたいと答えると『アップ・トゥ・ユー』でした。岡田さんも、試合直前まで死ぬほど考え抜くんだけど、最後は『お前たちを信じる』と言ってピッチに送り出すんです。人は『任せる』とか『信じる』と伝えられると、腹をくくって自然と身体が動く。そのことを、あの人たちから学びましたね」
安達の攻撃サッカーが爆発したのは、残り3試合となった第36節からである。サガン鳥栖とのホームゲームで3-1。続く甲府とのアウェイ戦では、アディショナルタイム5分のゴールで競り勝ち、最終節に望みをつないだ。
「まさか、残り3試合まで待たされるとは思いませんでした(苦笑)。逆にいえば、安達の頭の中にあった攻撃的で強度のあるサッカーを形にするには、それだけの時間が必要だったんでしょうね。予想外に時間がかかりましたが、早めに決断したからこそギリギリで間に合ったんだと思っています」
<第4回に続く>

