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カターレ富山“奇跡のJ2残留”は必然だったのか?「完全にゾーンに入っていた」左伴繁雄社長の哲学「胸を張って降格して、またチャレンジすればいい」
posted2026/01/23 11:06
都内で取材に応じたカターレ富山の左伴繁雄社長
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宇都宮徹壱Tetsuichi Utsunomiya
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Tetsuichi Utsunomiya
カターレ富山社長、左伴繁雄にとっての「11.29」
「試合後にスタジアムを一周したとき、プレーオフ決勝でJ2昇格を決めた去年よりも、涙を流している人が多かったんですよね。それだけ今回の状況は、劇的で『奇跡』と言われるのもわかる気はします。でも自分の中では、むしろ去年のほうが『奇跡』でした。今年は、逆算したとおりに一番いいコースをたどった、という感覚があるんです」
広島での織田秀和(ロアッソ熊本GM)へのインタビューから遡ること2週間ほど前、Jリーグの実行委員会に出席するため上京していたカターレ富山社長、左伴繁雄に話を聞くことができた。「他クラブの社長さんから『おめでとうございます』って言われたんだけどさ。優勝でも昇格でもないのに何だかなあと思いましたよ」と、まんざらでもない表情で語る左伴は70歳。Jクラブ社長が集まる実行委員会では、最も長いキャリアを持つ大ベテランだが、年齢を感じさせる素振りは微塵も見せない。
そんな左伴に、運命のJ2最終節を迎える日の心境を尋ねる。当人いわく「3試合前ぐらいから、チームは完全にゾーンに入っていました」。そして、こう続ける。
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「確かに『3点差以上なんて無理だよね』とか『熊本次第だよね』という声は多かった。でも、自分の中では条件が揃えば、残留できる確信がずっとあったんです。あの日、ロッカールームの選手たちを見ていたら『ここで絶対に(残留を)手繰り寄せる』という、凄みのようなものがあった。それを見て『こいつら、やるな』と思いました」
「前半のFKが入らなかったのがよかった」
14時3分キックオフの秋田戦は、前半は両者スコアレスで終了。裏の熊本vs.甲府も0-0なので、残り45分で3点差の勝利を目指さなければならない。しかし左伴のみならず、チームにも焦りはなかった。むしろ、より残留への確信は高まったという。

