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「選手より走れる監督」上野裕一郎がついに立教大を箱根駅伝に導くも…解任に「何やってんだ!」それでも「最後まで一緒に戦いたかった」理由
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佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2026/01/23 17:03
上野裕一郎監督の指導で立教大は悲願の箱根駅伝出場を果たした。しかしその上野が自身の過ちで去り、ひとつの時代が終わろうとしている
予選会の翌日、石鍋は東海大記録会の5000mに出場した。
それを引退レースにすることは、かなり前から決めていた。陸上人生最後のレースで自己ベストを更新する。そう心に誓った石鍋は、渾身の走りを見せ、14分43秒89で自己ベストをマーク。ゴール後、笑顔の上野監督に抱きしめられた。
「それが自分の人生の財産になっています。有終の美を飾れてよかったです」
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卒業後は、食品メーカーの九州支社で福岡を拠点に、営業マンとして働いている。
そしてついに箱根へ
それから1年後の2022年10月15日、第99回箱根駅伝予選会に出場した立教大は、6位で予選を突破し、55年ぶりに箱根路に戻ってきた。
中山凜斗は、「3年目で突破できるとは……」と思ったという。
「立教大に入学してきた時には、4年の間に箱根を走れるかどうか微妙だなと思っていました。でも、監督が一緒に走ってくれたりして、個人もチームも強くしてくれた。周囲からは選手よりも走れる監督って言われていたので、僕らからすると悔しかったですし、絶対に超えてやるという気持ちになりました。自分を含めてみんなのそういう気持ちが、全体のレベルアップにつながったのかなと思います」
OBも箱根本選出場に歓喜の声を上げた。斎藤は、予選会を現場で見ていた。
「力がある人が、ちゃんとその力を発揮した。上野さんが走れる人を適切な位置に配置して、戦略がハマったのも大きいですね。やり方自体は自分たちの時と変わっていないので、実力と戦略とがマッチしたことが、予選突破できた要因だと思います」
ほんの7カ月前までは同じところを走っていた後輩たちが少し遠くに、そして逞しく感じられた。
石鍋は、予選会を突破した翌日の夜、ミラー千本真章主将と寮長の辻京佑に焼肉をごちそうして箱根出場を祝った。
「うれしかったですね。アスリート選抜で入ってきた子たちが上級生になって、ようやく結果が出たところをみると、やっぱり自分たちとは違うんだな、と思いました。それでも、箱根のプロジェクトに自分たちが最初から絡めたことは、僕の人生のなかで大きな財産になっていますし、箱根に向けてチームの土台作りをしたことが少しは結果につながってくれていたならうれしいなって思っていました」


