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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「等々力で14番をつけていいのか?」中村憲剛の息子・龍剛が悩んだ背番号変更の真相…選手権中ほぼ毎日親子会議「お父さんとの日常はこれからも宝物」
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安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2026/01/21 11:07
日大藤沢サッカー部の新主将に就任した中村龍剛。初めての選手権、そして父への本音を明かした
息子の覚悟を悟ったのだろうか、選手権が開幕すると“親子分析会議”の頻度は増えた。対戦校のプレー集の映像を父が編集し、議論を重ねていく。中1日で試合が行われる大会序盤は特に濃密で、特別な時間になった。父の言葉がより腑に落ちたのは、2-1で勝利した3回戦の聖和学園戦だった。
「僕はベンチスタートで外からピッチを見ていたのですが、聖和学園はお父さんが想定していた【4-2-3-1】ではなく【4-3-2-1】で臨んできたんです」
想定外の出来事だったが、龍剛はすぐに「相手を見てサッカーをしなさい。小さい気づきがチームに変化をもたらすよ」という父の言葉を思い出した。相手の狙いは何か。なぜ変化させてきたのか。逆に狙い目になるところはどこか。食い入るようにピッチを見つめた。
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「お父さんと事前にしっかり議論していたので、戦略の変化にすぐに気づくことができたし、布陣が変わってもピッチに立つメンバーはほとんど変わっていなかったので、選手の特性などを照らし合わせてどう攻略すべきかを考えていました」
聖和学園が中盤に3人のボランチを配置したのは日大藤沢のダブルボランチを警戒し、人数をかけて制圧にきたと分析。味方に「サイドバックの前のスペースや不慣れな部分を狙えばいい」と伝えた。さらに1-1で迎えた54分に投入されると、「相手のボランチをサイドに食いつかせれば中が空く」と、自らボランチの位置から左右にボールを散らした。試合途中に聖和学園が従来の布陣に戻したときもいち早く察知し、相手に主導権を握らせなかった。
「お父さんは映像を見せながら、ちゃんと僕に考えさせてくれるんです。学校のテストに置き換えると、先生から『ここら辺が出ると思うよ』と言ってくるような感じ。答えを提示するのではなく、わからないことがあった時に助けてくれるんです」
「たくさんの宿題をもらいました」
続く準々決勝の神村学園戦では龍剛はスタメン出場を果たした。しかし、神村学園の特徴を叩き込んでピッチに立ったが、「それ以上に相手の動き出し、強度、ポジショニングすべてが上手だった」と日本一になるチームの底力を目の当たりにした。自身の良さを発揮できぬまま、64分に交代。チームも1-4の完敗を喫した。
「たくさんの宿題をもらいました。高校最後の1年間に向けて、凄くいい基準ができたと思います。彼らに勝つためにはもっとサッカー面で賢くならないといけないし、技術もフィジカルも上げないといけない。今のままではダメだと痛感しました」


