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「勝てない監督よりも…」「5位はショックでした」青学大に敗れた中大・藤原監督が明かす…箱根駅伝“26秒の誤算”「2区溜池、ハムストリングの異変」
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byKeiji Ishikawa
posted2026/01/19 11:02
中大・藤原正和監督。2016年の就任から10年が経った
「65分40秒で行けると踏んでいたんですが、66分06秒かかりました。今回、溜池は『ADIZERO ADIOS PRO EVO 2(アディゼロ アディオス プロ エヴォ 2)』を履いたんですが、走ってみると予想以上にシューズの反発力が強く、上手く使いこなせずに、権太坂ではハムストリングが攣りかけたらしいんです。手堅く前のモデルのEVO1を履いていれば、想定通りのタイムで走れたかもしれません。最新のテクノロジーを使いこなすのはトレーニングが不可欠で、なかなか難しいですね」
そして藤原監督が悔やむのは、やはり5区だ。自信をもって柴田大地(3年)を送り出したが、苦しい走りとなった。
「1時間11分でカバーしてくれるだろうと思っていたんですが、1時間12分16秒かかってしまいました。いろいろな要因があったとは思いますが、早稲田の工藤(慎作)君の走力を考えると、(小田原中継所で)2分差は欲しいところでしたが、1分12秒差だったので柴田にはプレッシャーがあったかもしれません。400m差と600m差では、まったく違いますから。ただ、工藤君、それに青学の黒田朝日君がやってきたので、ふたりの怪物に挟まれてメンタル的にはキツかったと思います」
「黒田君は、軽自動車のボディ+ポルシェのエンジン」
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藤原監督は学生時代に3度山上りを経験し、1年生の時は区間賞も獲得している。その藤原監督の目から見ても、走り去っていく黒田の姿は異次元のものに見えた。
「黒田朝日君の大会になりました。本当にすごかったです。驚いたのはストライドが広く、足の出方もスムースで、表情も苦しそうじゃない。まるで平地を走っているようでした。この結果を受けて、果たして黒田君は10年に一人の選手なのか、20年、30年に一人の逸材なのか、それとも今後は彼の走りがスタンダードになっていくのか? 今回の彼の走りで、1時間10分かかってしまったらブレーキなんじゃないかというくらい、山上りの概念が変わる可能性があります」
そして藤原監督は元HONDAの社員らしく、黒田を次のように評した。
「スペックが違いますよね。まるで軽自動車のボディに、それこそポルシェのエンジンを搭載しているようで、まったく馬力が違います」
実は、中大にもエース溜池を5区に起用するプランがあったことは、あった。
「“溜池5区”を検討した時期がありました。8月の蔵王の合宿で、上りのタイムトライアルでダントツだったので。ただ、溜池のかわりに信頼して2区を任せられる人材を育てきれなかった。そこがウチと青学さんの差として出てしまいました」
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