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「苦しい」「難しい」藤井聡太と永瀬拓矢が感想戦で何度も…“敗因不明”の王将戦初戦「えっ!」将棋漬けの天才が見せた“意外な一手と目標”
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田丸昇Noboru Tamaru
photograph by日本将棋連盟
posted2026/01/14 06:01
“将棋漬けの天才”永瀬拓矢九段は、2日制のタイトル戦で藤井聡太王将相手に初の先勝となった
この作戦は、永瀬の事前研究によるものかどうかは不明だ。とはいえ藤井は意表を突かれたようで、2時間2分もの大長考を余儀なくされた。その後、8筋から反撃して永瀬の玉頭を目標にした。
永瀬は中段の金を進めて攻め合うと、飛車を切る強手で後手玉に詰めろをかけた。
まさに真剣を突きつける迫力があった。しかし藤井の玉に早逃げされ、以降の寄せは難しくなった。AI(人工知能)の形勢評価値は、永瀬の50%台に藤井の40%台がずっと続いた。終盤では一進一退の攻防が繰り広げられ、形勢は混沌としてきた。
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藤井は角を敵陣に侵入させ、飛車を打って先手玉に迫った。永瀬はそれを巧みに受けると、角を中段に打つ王手で左右挟撃の寄せにいった。そして自玉の安全を図り、藤井の玉を即詰みに討ち取った。
「苦しい」「難しい」両対局者が感想戦で何度も
王将戦第1局は永瀬九段が137手で勝った。終局時間は19時36分。残り時間は両者ともに1分。本局は敗因不明の大熱戦だった。
終局後の検討では藤井は「苦しい」、永瀬は「難しい」という言葉が何度も出たほどである。
藤井は2023年の竜王戦から25年の竜王戦まで、タイトル戦第1局で15連勝していたが、26年の王将戦で止まった。
一方の永瀬は藤井との2日制タイトル戦の第1局で初めて勝った。対局前には「七番勝負では3勝3敗で最終局を迎えると、どちらかが勝者と敗者になり、胸が熱くなって面白いです」と語った。藤井と1局でも多く指すためにも、第7局まで到達したいという。それには「真剣」と形容する角換わり腰掛け銀の成果がカギとなる。
勝者コスプレは“馬と王子様”に
王将戦七番勝負の勝者は、翌朝のスポーツニッポン紙(王将戦に特別協力)に「勝者コスプレ」が掲載されるのが恒例だ。今回は午(ウマ)年の干支にちなんで、永瀬が王子様に扮して馬のオブジェに笑顔を寄せる写真が載った。王将戦第2局は1月24、25日に京都府京都市「伏見稲荷大社」で行われる。〈将棋特集:つづく〉

