濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「沙弥様の可愛い顔を汚くしやがって」上谷沙弥vs安納サオリはなぜ“両者号泣”の名勝負になったのか? 試合後に涙を流した“それぞれの理由”
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2026/01/13 11:00
上谷沙弥vs安納サオリのタイトルマッチが名勝負となった舞台裏とは
タフにもほどがある。それこそ「プロレスが大好き」でなければこんなハードスケジュールはこなせないはずだ。
「見られるのが好きですしね。どの団体でもどの会場でも、プロレスを届けたい。おかげさまで体も丈夫なので、今年(2025年)一度も怪我や病気での欠場はないんです。悔しいのは、体が一つしかないから、スケジュールによって(スターダムとOZの)どちらかしか出られない日があることですね」
リングではクールなイメージがある安納だが、本人によると「クールじゃなくて集中してるんです」。リングに上がったらいつ相手が襲ってくるか分からない。だから客席を見て手を振ったり、笑顔で目線を送るファンサービスはできない。それができる選手は素晴らしいと思うが、自分には自分の“プロレスの届け方”がある。
「働きすぎってことだわ」
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年が明けると3日のスターダム、4日のOZとまた連戦。上谷も4日の新日本プロレス東京ドーム大会でIWGP女子王者の朱里と対戦している。両国大会から“中5日”でのビッグマッチ、シングル2連戦だ。
この試合に敗れた上谷は、敗因を「働きすぎってことだわ」と言い「有給休暇」を主張した。団体側も体調面を考慮して欠場を認めている。復帰は2月7日の大阪大会、ワールド王座防衛戦だ。
上谷は心身の限界まで世間と、プロレスと向き合い続けた。安納は現場にプロレスを届け続ける。そしてどちらにとっても、ここがゴールではない。頬をアイシングしながら、安納は言った。
「まだまだ諦めないですよ。ベルトだけじゃない、いろんなものを諦めてないですから」
スターダムは両国大会の観客数を「満員札止め」と発表した。「超満員」ではないのは、枡席1名でフルキャパシティではなかったため。次回からは枡席を2名使用にしたいと岡田太郎社長。東京ドーム大会開催も視野に入れている。曰く「5年計画で考えていましたが“沙弥様”人気など今の状況を考えると前倒しになるかもしれません」。
スターダムにも上谷にも安納にも、さらなる“先”がある。

