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「ワルぶってもバレる。嘘がつけないタイプなんだよ(笑)」人気レスラー・上谷沙弥の“カリスマ性”の正体…『鬼レンチャン』『ラヴィット!』反響後の今
posted2025/11/20 17:00
上谷沙弥が語る『鬼レンチャン』300m走サバイバルで成長した部分とは?
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
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Norihiro Hashimoto
今や上谷沙弥は、プロレス大賞MVPの有力候補と目される存在になった。「女子プロレス大賞」ではなく、男子も含めたMVPの有力候補だ。
2度の『千鳥の鬼レンチャン』登場、『ラヴィット!』シーズンレギュラーなど地上波テレビでの露出で、一般的知名度の上がり方は業界でも群を抜く。最近は“沙弥様”に憧れるレスラー志願者が多いそうだ。
といって、MVP級なのは知名度だけではない。大事なのは上谷がスターダムのトップ選手である証、“赤いベルト”ことワールド・オブ・スターダム王座を昨年12月から保持し続けていること。その試合は常に高いクオリティをキープしている。むしろ内容が濃くなる一方と言ってもいい。
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「メディアに出て注目されても“試合がおろそかになってる”とは絶対に言わせない。そのプライドをもってやってるから。どれだけ忙しくても、練習も試合も手を抜かないのがモットー」
じつは「300m走サバイバル」で成長していた
11月3日、赤いベルトとSTRONG女子の2冠をかけたタイトルマッチに勝利した直後のインタビューで上谷は言った。この日の対戦相手は夏のリーグ戦5★STAR GP優勝者の渡辺桃。現時点で最強の挑戦者と言ってよかった。赤いベルトは、これで7度目の防衛になる。
最近の上谷の試合を見ていて感じるのは、1回の攻防の中での手数の多さ。水泳にたとえると、一呼吸でのストロークが多いと言えば伝わりやすいだろうか。
普通なら「ここでいったん息を整えて」という場面でも上谷は止まらない。それどころか急に場外に飛ぶことも。だから多人数のタッグマッチでも、結果として上谷が一番目立つわけだ。興行の前半戦に出ても埋もれず、地方大会でも「テレビで見た沙弥様」目当ての一見さんでも満足させることができる。
実はこの動きのよさは『鬼レンチャン』が関係しているという。この番組で上谷が挑んだのは300m走サバイバル。短いインターバルで300m走を繰り返し、最下位が脱落していくという生き残りレースだ。
今の女子プロレスをアピールする大チャンスに、上谷は本気で臨んだ。準備のために陸上トラックでのラントレ、階段ダッシュに取り組んだという。

