濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「沙弥様の可愛い顔を汚くしやがって」上谷沙弥vs安納サオリはなぜ“両者号泣”の名勝負になったのか? 試合後に涙を流した“それぞれの理由”
posted2026/01/13 11:00
上谷沙弥vs安納サオリのタイトルマッチが名勝負となった舞台裏とは
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Essei Hara
スターダムの2025年最終戦、恒例の両国国技館大会(12月29日)は団体の同会場最高記録となる6563人を動員した。前年の会場3面使用から4面(四方すべて)を使う客席レイアウトだったが、前売りでチケットは完売している。むしろ1席1名使用の枡席を2名にしておけば、という“誤算”もあったようだ。
それだけの注目を集めた原動力は、もちろん“沙弥様”こと上谷沙弥。地上波テレビへの出演がきっかけとなって知名度を上げ、同時に2024年の両国大会で獲得した“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム王座を1年間守り続けた。
さらには東京スポーツ認定プロレス大賞のMVPを受賞。男子選手も含めた全体でのMVPを女子レスラーが獲得するのは、史上初のことだ。
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テレビでの活躍で“一般層に名が売れた”というだけのことではなかった。メディア露出はあくまでプロレスのため。『千鳥の鬼レンチャン』で視聴者の胸を打ったのは「今の女子プロレスを広めたい」と涙ぐみながら語る姿だった。
シーズンレギュラーを務めた『ラヴィット!』では“女子プロレス地上波生中継”を実現させた。番組内でリングを組み、試合を行ったのだ。
上谷vs安納は“正面衝突の激闘”に…
もちろん、スターダムの興行をおろそかにすることもなかった。増える一方の観客、その期待に応え続け、ビッグマッチのメインでベルトを守る。
「メディアに出て注目されても“試合がおろそかになってる”とは絶対に言わせない。そのプライドをもってやってるから。どれだけ忙しくても、練習も試合も手を抜かないのがモットー」
そう語っていた上谷は、両国でも大激闘を展開した。赤いベルト8度目の防衛戦で闘ったのは安納サオリ。2025年にデビュー10周年を迎え「自分を変える」、「このままでは終わる」という強い覚悟をもって挑戦表明した。生半可な野心では、今の上谷には太刀打ちできないのだ。上谷の活躍ぶりに対する嫉妬心も、安納は隠さなかった。
10年間のキャリアで培ったすべてをぶつける。そう決めて臨んだ上谷とのタイトルマッチは、正面衝突の様相となった。


