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野球クロスロードBACK NUMBER
《ブルージェイズと94億円契約》巨人・岡本和真を育てた名伯楽が語る“指導の原点”「どんなにすごい選手でも、天狗にさせてしまうと…」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2026/01/06 06:03
ブルージェイズと4年総額94億円の契約で合意したとされる巨人の岡本和真。智弁学園時代に指導した名伯楽が語る「指導のポイント」とは?
ダメならダメ。潔い割り切りが、指導者としての小坂を真っすぐにした。
時代は年々、大人と子供の距離感を遠くする。怒鳴り散らせば「行き過ぎた教育」と非難されることもあり、第三者を通じて事実が誇張され拡散されようものならば、社会問題に発展しかねない。そんな息苦しさを知ってか、高校野球の現場も口数が減りつつある。
小坂はもとから饒舌なほうではないが「指導者が選手に気を遣うのって嫌いなんです」と、明確な指針を持つ。だからこそ、選手を叱るときにはしっかりと筋道を作る。
チームの中心選手には…より厳しく!
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とりわけチームの中心選手に対しては、より厳しく接する。岡本和真がそのひとりだ。
14年のセンバツ初戦で2本のホームランと強烈なインパクトを放ったスラッガーは、その後の春季近畿大会で沈黙した。主戦場のファーストやサードではなく、レフトを守った初戦の鳥羽戦でホームランはおろか3打数ノーヒットで、チームも敗れた。
「あれ、岡本どこにいったん? って言うくらい存在感がなかった。お前ほどの選手がアカンやろと、怒った記憶がありますね」
中心選手と言えば、村上頌樹もそうだ。16年のセンバツで全試合に登板し優勝の原動力となるエースにも、取材対応に不満があり怒鳴ったことがあったという。
スケールの大きい選手だからこそ、より目を光らせる。そのスタンスには、指導者としての根幹がしっかりと息づいている。
「能力がすごいのはわかるんです。でも、野球ってひとりじゃできないじゃないですか。そういうことは教えなアカンですよね」
現役世代にも将来性豊かな選手がいる。エースの杉本真滉だ。
1年生の夏から甲子園のマウンドを経験する左腕は、ストレートの最速146キロをマークする高校トップクラスのピッチャーである。秋の近畿大会で準優勝を支え、今春のセンバツでも躍動が期待される杉本は、チームでも副キャプテンと中心的な存在だ。
その立場にありながら、杉本は近畿大会で失態を犯し、小坂をキレさせた。
「なんで俺が怒るかわかるか?」
監督が問うと杉本は「マウンドでの態度が、ちょっと良くなかったです……」と答えた。

