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「“山の神”は名監督だった!?」神野大地とMABPの挑戦…始動初年度の快挙に導いた“気づき”「自分の当たり前は、選手の当たり前じゃない」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2026/01/02 11:08
箱根駅伝で3代目・山の神と呼ばれた神野大地。新チームMABPマーヴェリックの監督として、始動初年度にニューイヤー駅伝出場を果たした
やり方を改めていこうと考えたのは、ちょうどジストニアという難病の手術を受け、入院中にいろいろと考える時間があったからでもある。選手としての可能性を僅かでも高めたいという気持ちから難しい脳への手術を受け、しばらく運動は厳禁になった。その時、これまでのチームの経過や自分の指導方法など、振り返って考えると改善すべき余地があった。
神野が修正したのは、選手への説明の仕方だ。
強制してもプロ選手には納得させられない
例えば、ケアを含めたフィジカルトレーニングはトレーナーの中野ジェームズ修一と木村竣哉が担っている。ただ、選手にもそれまで高校や大学での陸上生活で培ってきた方法があり、いきなり「やれ」と言われても「はい、やります」とはいかない。
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「強制的にやらせるのは高校生、大学生ぐらいまでで、実業団でプロになると自分に必要だって思わないとやらないんです。だから、中野さんのストレッチも『必ずやりなさい』『これをしないと怪我するよ』という言い方ではなく、『これをやったら今よりももっとパフォーマンスがよくなるよ』『やったら調子が上がるかもよ』というように、ポジティブな声掛けに変えていったんです。すると、みんなストレッチをやるようになったり、食事にも気を遣うように、変わっていきました」
提案型のコーチングは、選手に新たな視点を提供し、自主性を引き出す効果がある。神野の採用した声掛けはまさにそれであり、チームを活性化させるものだった。神野の声が響き始めると選手はストレッチはもちろん、手洗い・うがいを徹底し、ヨーグルトや鉄分の多いチーズなどの食材を積極的に摂り始めた。
「ちょっと言い方を変えるだけで、だいぶ変わるなぁと思いましたね」

