「普通はもういいだろうと思うでしょうね」難病に冒されDeNA戦力外の剛腕・三嶋一輝はまだ折れない…“生きている”実感求め「最後までもがく」 

球団との考え方の違い

　ベテランになり晩節を生きるということ。状況も環境も若いときとはまったく違うが、三嶋自身は若い選手同様に、何歳になろうと純粋に上手くなりたいと、“野球”を熱烈に欲していたという。そこで球団との考え方で若干の齟齬があったことを吐露する。

「いや、シンプルに野球を教えてもらいたかったんですよ。年齢的にも僕に気を遣って、多くを言わず任せてくれたのは理解しています。でもこの1～2年は僕が欲するような、数をやって基礎的な動きをやるような野球を教えてもらえませんでした。だからよく（森）唯斗と野球やりたいよね、野球教えてほしいよねって話はしていましたね」

DeNAの近年の指導方針にも思うところはあったという　©Hideki Sugiyama

　DeNAにはデータを軸とした指導方針がある。上手く活用できればいいのだが、三嶋はどこか物足りなさを感じていた。

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「データだけを見て状況判断しているんじゃないかと思った時期も正直ありましたよ。それでもデータを見て『これがダメだからダメなんです』って、はっきりと言ってほしかった。じゃないと僕も納得できないですし。それでも気を遣って言ってもらえませんでしたけどね。

　言葉ではっきりと言ってもらえないから、僕も変に勘ぐってしまったり……。結局、野球って結果ありきじゃないですか。プロだし成果をあげなければいけない。そういう部分ではすごく悩んだというか、プロになって初めてのことでした。あくまでも僕の考え方ですけど、ダメなときは怒ってもらいたいんですよね」

　データ活用より前にある、人と人との密なコミュニケーション。そして数字ではなく野球そのものに目を向けること。アナログかもしれないが、三嶋の求めているものは、今一歩チームとして殻を破ることができないDeNAに必要なことなのかもしれない。

まだまだ人生はつづく

　今後どうなるかわからないが、三嶋にひとつの終わりが近づいていることは間違いない。ただ、まだまだ人生はつづく。三嶋は大きく息を吐くように言うのだ。

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