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「普通はもういいだろうと思うでしょうね」難病に冒されDeNA戦力外の剛腕・三嶋一輝はまだ折れない…“生きている”実感求め「最後までもがく」

text by

石塚隆Takashi Ishizuka

photograph byHideki Sugiyama

posted2025/12/29 17:03

難病の手術から、球速は150kmにまで戻ってきた。現役続行を諦めない三嶋に朗報は届くだろうか

「衝動、なんですかね。なんかね、敵わないとか、こいつすごいと思ったら負けたような気がして小さい頃から嫌だったんですよ。だから意地は張りますよ。まあ、何でこういう性格になっちゃったのかはわからないんですけど」

　生粋の負けず嫌い。だから不遇な目に遭ったとしても、何度でも立ち上がることができる。そんな三嶋という人間について、現役時代からともに自主トレをするなど身近に見てきたDeNA前監督の三浦大輔は次のように語る。

「現役時代から投げる姿も苦労をしている姿も見てきました。野球に一生懸命向き合って、現実を受け入れながらも毎日トレーニングしていましたし、周囲には一切弱みを見せませんでしたね」

　そう言うと、三浦はちょっと寂しそうな顔をしてつづけた。

「とくに印象に残っているのは、今年の開幕前、直接ファームスタートを告げたときのことです。本人としてはものすごく手応えがあった状態だったと思うんです。今年に懸ける意気込みもすごかった。だから伝える前から本人は納得しないだろうなと思っていたし、伝えるのがつらかった。けどこっちも決断しなければいけない。

　実際、伝えたときの（三嶋）一輝の表情は……今も忘れられないですね。その後もコーチに話を聞いたり、映像をチェックしていたんですけど、なかなかチャンスを与えることができず、自由契約になってしまった。

　そういった意味では本当に申し訳ないと思っています。監督を辞めて言うのもあれですけど、一輝にはもう一花咲かせて欲しいですし、完全燃焼して終わって欲しいと思っています」

　この言葉を三嶋に伝えると、しばし沈黙した。そして顔を上げて言うのだ。

「僕は三浦監督のことが大好きだし、プロとして生きるためにいろいろなことを学ばせてもらい本当に感謝しています。そう開幕前……納得いかなかったので、そういう顔にはなっていたかもしれませんね。でも今思えば、いつもの自分と違うと気づいてくれたことだけでも、なんかちょっとうれしかったですね」

　師弟であり、敬愛すべき先輩後輩の関係。三嶋は多くを語ろうとはしなかったが、二人だけにしか理解できない世界がきっとあるのだろう。

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