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「まさかOB?」「いえ、1年です!」今季で現役引退“怪童”中田翔…ベテラン記者が見た高校時代の衝撃 聞きたかった「ピッチャーへの想い」
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/12/20 11:02
今季で現役を引退した中日の中田翔。大阪桐蔭高校時代、最初に頭角を現したのはピッチャーとしてだった
そういえば、さっき初めて顔を合わせて「よろしく!」と握手した時の笑顔と握る力がやんわりと優しく、スタンドから眺めていた時の「剛腕・辻内崇伸」の勇ましいイメージとはまったく逆で、やはり選手のことは会ってみないとわからない。
投げてもらった後のインタビューで、辻内投手は「好きな食べ物は、お母さんが作ってくれるクリームシチューです」と話してくれた。
剛腕・辻内の猛烈クロスファイアーと斜めにキレ込むスライダーを、必死に受けて30球ほど。気がつくと、隣りのブルペンに投手がもう1人やって来ていた。
「まさか、OB?」「いえ、1年です!」
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185cm、84kg(当時)の辻内投手も大きいが、隣りのご新規さんはもっとデカく見える。胸の厚さなんか、辻内投手の2倍もあろうかというほど。
何よりも、ブルペンのマウンドに上がった時の「立ち姿」が違った。
ただデカいだけじゃない。貫禄みたいなものすら備わっていたので、そのデカいのを受けに来たキャッチャー君に「まさか、OB?」と訊いたら「いえ、1年です!」と言われて、もっと大きな「まさか!」だった。
「中田っていうんです、中田翔」
それが、初めての出会いだった。
<次回へつづく>

