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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト指名“ホンネ評価”…ベテラン記者が思わず「おとなしいドラフトやっちゃった」球団はどこ? 驚きの指名は「佐々木麟太郎」ではなく…
posted2025/11/01 11:04
3球団競合の末、阪神が指名権を獲得した創価大の立石正広。複数競合が想定されたため、「一本釣り」を狙った球団も?
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Shigeki Yamamoto
今年も様々なドラマを生んだドラフト会議。成果が見えるのはまだしばらく先だろう。とはいえ、各球団のプランや指名の狙いは今の段階でも見えてくる。ベテラン野球記者が各球団のドラフト指名「ホンネ評価」をレポートする。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》
「佐々木麟太郎じゃない」ソフトバンクの驚きの指名
今年のドラフト会議で、オオーッと驚いた指名があった。ソフトバンクホークスである。それは1位指名の「佐々木麟太郎サプライズ」ではない。
2位・稲川竜汰(投手・九州共立大・184cm88kg・右投右打)
3位・鈴木豪太(投手・大阪商業大・175cm84kg・右投右打)
そこのところである。
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この2人、共に大きな挫折と困難を乗り越えてきた投手たちである。
1年生の大学選手権で150キロに近いアベレージを持つ速球に鋭いタテの変化、さらには両サイドビタビタの絶妙のコーナーワークまで披露して、「3年後はドラ1確実」と評された稲川投手が、右ヒザ半月板損傷で手術を2度繰り返すという重傷を負ったのが3年生の時。4年春リーグ戦で復帰するまで、ほぼ1年間を棒に振った。
一時は野球継続断念まで思い詰めたこともあったと聞くが、様子を訊くたびに、九州共立大・上原忠監督は「まだ全力投球できるところまではいっていませんが、大丈夫です、あいつは必ず立て直せます。そういうヤツです。楽しみにしていてください!」と全幅の信頼を置いていた。
そしてその言葉通り、今年の春のリーグ戦からマウンドにカムバックすると、まもなく150キロ近い速球に本来の猛烈なバックスピンを取り戻し、あとはスライダー、フォークの制球を思い出すだけだ。


