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大会出場の秘策は…まさかのバスケ部!? 高校駅伝の女王・長野東「部員は3人だけ」衝撃の黎明期を振り返る 全国出場は「嬉しかったけど、それよりも…」

posted2025/12/21 06:02

 
大会出場の秘策は…まさかのバスケ部!? 高校駅伝の女王・長野東「部員は3人だけ」衝撃の黎明期を振り返る 全国出場は「嬉しかったけど、それよりも…」<Number Web> photograph by 取材対象者提供

本格始動からわずか2年で都大路出場を決めた2007年の長野東高校。一方で、その前年は部員不足で元バスケ部を“助っ人”起用する状況だった

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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 今年も全国高校駅伝の季節がやってきた。今季の女子の優勝候補の一角で同校初の連覇を狙うのが長野東高校だ。今年で19年連続の全国出場を誇る同校だが、いまから18年前――初めて京都の舞台に辿り着いたチームは、まさにゼロからのスタートだった。わずか“部員3人”からはじまった「普通の公立校」の黎明期を振り返る。《NumberWebノンフィクション全3回の2回目/つづきを読む》

「大丈夫、何とかするから――」

 高校駅伝の県大会を2カ月後に控えた2006年の9月頃。長野東高校の1年生エースだった小田切亜希の質問に、監督を務めていた玉城良二はそんな風に答えていた。

 小田切の疑問は、実にシンプルなものだった。

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「5人で走る高校駅伝……いまは部員が3人しかいませんけど、どうなるんですか?」

 この年、長野東高校の女子駅伝チームに入部した小田切と西澤千春・美春の双子の3人は中学時代から県内では実績があるランナーだった。名伯楽の玉城が赴任したと聞き、その時点では決して強豪校ではなかった同校に意を決して入学してきたのだ。

 エースの小田切は、1年生ながら8月のインターハイにも出場。3人の走力はすでにそれなりに備わっていた。だが、競技が駅伝である以上、5人そろわなければスタートラインに立つことは叶わない。

「正直、もうこの年はムリかなとも思っていました。来年、なんとか新入生が入ってきてくれれば……と思っていた気がします」(小田切)

「もともと3人なのは分かっていたので、翌年からが勝負という気持ちでした」(美春)

足りなかった部員…まさかの“助っ人”は?

 半ばあきらめ気味だった3人だったが、結果から言えば玉城は本当に「何とか」したのである。玉城が連れてきたのは元バスケットボール部で、引退していた3年生部員の2人だった。

「授業で関わりがあった生徒にお願いしてね。夏で部活が終わって時間がある子の中で、走れそうな子に頼んだんです。当時は公立校だと駅伝を走るために他の部から人を借りて……って、そんなに珍しいことじゃなかったから」

 確かに玉城の言うように、陸上部以外の選手が駅伝に参加すること自体は珍しい話ではない。ただ、それはあくまで出場だけを目的にしたようなチームの場合である。「全国大会を目指す」と公言しているようなチームでは当然、異例のことだ。このあたりに“強豪校”と“普通の公立校”の間で揺蕩っていた当時の長野東の面白さがあるのかもしれない。

【次ページ】 2区までまさかの大逃げも…“助っ人”で失速

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