「長野東って…どこ？」ライバル校も衝撃…地方の公立校がナゼ全国高校駅伝の女王に？ 18年前「部員は3人だけ」からの“奇跡の軌跡”を振り返る

「長野東って、どこ？　聞いたことないんだけど」

　2007年の12月、長野東高校として初めて臨んだ全国高校駅伝。3区の中継所で待機していた西澤美春は、中継モニターを見ながらある強豪校のランナーがそんなことをつぶやいているのを耳にした。

　一方で、画面を覗いた美春自身も驚いていた。モニターの中では、初出場のはずの自分のチームのユニフォームが、全国の強豪校を相手にエース区間で先頭争いをしていたのである。

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「1区を終えて（小田切）亜希が区間4位で、もう全然予想していなかった順位で（笑）。しかも2区の1年生も頑張ってくれて、入賞圏内の7位でタスキを持ってきてくれて」

　これは自分が抜かれるわけにはいかない。でも、これは“目標”もいけるんじゃないか――。

　初の都大路でタスキを受け取りながら、美春はそんなことを考えていた。

2007年の都大路1区を走る先頭集団。初出場にもかかわらず、エースの小田切（左から2番目）が区間4位の好走　©JIJI PRESS

「大会前に地元紙の記者に『目標は？』と聞かれて、慌てて『ゼッケン番号の17番くらいには入りたい』という話をしたんです。結局、それがそのまま目標になりました（笑）」

　チームを率いた玉城良二監督は、長野東高校として初の出場となったこの年の全国高駅伝を、そんな風に振り返る。

　終わってみれば、結局チーム順位は17位だった。偶然だが、その目標通りの順位となった。

始動から2年で都大路…順風満帆のはずが？

　客観的に見れば、1、2年生部員しかいない初出場の公立校としては上々の結果に見える。加えて、この年までの長野県勢は44位、37位、45位と、全国大会では最下位争いをしているような状況で、有力選手の県外流出も激しかった。その意味でも、今後のジャンプアップが見込める中で10位台の結果が出せたというのは、大きな成果とも言えた。

　本格始動からわずか2年で都大路に出場という結果を出した。エース区間で先頭争いまで繰り広げた大黒柱を含め、選手は全員、翌年も残る。しかも、これだけの結果が出れば入学を希望する有力選手はますます増えていくだろう。

　そうなれば入賞はもちろん、それこそ全国の表彰台だって狙えるかもしれない。普通に考えれば、そんな欲が出ても決しておかしなことではない。

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