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大会出場の秘策は…まさかのバスケ部!? 高校駅伝の女王・長野東「部員は3人だけ」衝撃の黎明期を振り返る　全国出場は「嬉しかったけど、それよりも…」

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別府響Hibiki Beppu

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photograph by取材対象者提供

posted2025/12/21 06:02

本格始動からわずか2年で都大路出場を決めた2007年の長野東高校。一方で、その前年は部員不足で元バスケ部を“助っ人”起用する状況だった

　アンカーの5区に起用された美春も振り返る。

「夏の疲労骨折もあって、当初は自分が走れるか不安だったんです。なんとか間に合った安堵もあって、前日のミーティングで泣いちゃったんですよね。そしたら玉城先生に『お前、顔洗ってこい。ここがゴールじゃないんだから』と言われて（笑）。でも、その言葉も『その通りだな』と思えたんです。勝つ確信があったわけではないですけど……でも、力を出せれば負けることはない。勝負は全国なんだからという感じだったというか」

圧勝で初の都大路へ…選手たちの胸中は？

　そんな2人の言葉通り、結果から言えば、レースは危なげない圧勝劇だった。

　小田切が1区で2位に45秒差をつけて前年を上回る区間新記録の爆走を見せると、2区から4区までの3区間も連続区間新記録。今年はウィークポイントになる「元バスケ部」はもちろんいない。アンカーの美春がゴールテープを切った時、後続との差は1分30秒以上になっていた。

　下級生だけの完勝で初の都大路出場を決めた直後、小田切や美春、玉城の胸にこみ上げたのは、意外にも喜びよりも「感謝の想い」だったという。玉城が苦笑する。

「周囲は長野東初の都大路ということで盛り上がってくれましたけど、私は前任校で10回も出ているので（笑）。出場そのものには唯一、関係者で感慨がなかったんじゃないですかね。ただ、公立校で2年足らずという短期間で全国を決めるのは、よほど環境や選手に恵まれなければ難しい。そういう部分への感謝の想いはすごくありました」

　その言葉に小田切と美春も首肯する。

「やっぱり前年のバスケ部の先輩もそうですし、監督やさつきさん、他にも無償でコーチに来てくれた監督の教え子の方とかがいてくれたから全国へ出られたんだなぁと。一番はその思いが大きかったです。嬉しかったけど、それ以上にありがたかった。だから、みんなに『やったね！』じゃなくて『ありがとう！』って言って回ったような記憶があります」（小田切）

「自分たちよりも周りの人がすごく喜んでくれたのがすごく印象に残っています。去年のバスケ部の先輩とかも見にきてくれていたり、地域の方々が祝勝会を開いてくれたり……嬉しかった記憶ももちろんありますけど、そういう姿の方が印象に残っていますね」（美春）