試合で突然「球速が4キロアップ」でも「159キロがアベレージじゃないと…」高校時代は実績ゼロ→米大学へ編入報道…仙台大・佐藤幻瑛「意外な素顔」 

「自分が卒業してからも、年に何度か会っていますが、幻瑛の口からドラフト1位でプロに行きたいとか、メジャーに行きたいとか、そんなこと一度も聞いたことがない。幻瑛の関心は、いかに自分自身の能力を上げるか。あくまでも、能力が高くなりたい……なんですね。それしかないように見えました」

「やっぱり幻瑛らしいな…と思います」

　それにしたって、絶対的エースが抜けて痛くないチームなどなく、そこには思い至らなかったのか。

「高校でまるで実績のなかった投手だったのを、ここまで育ててもらって、幻瑛だって、大学にどれだけお世話になっているかぐらいはわかっているはずです。強烈なオリジナリティは持っているヤツですが、人なつっこいし、仲間のことも思っている。

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　森本（吉謙）監督や坪井（俊樹）コーチにも素直だし、野球の取り組みだってしっかりしている。その上での彼なりの決断だったんでしょうね。それだけに、やっぱり幻瑛らしいな、幻瑛にしかできない決断だったんじゃないかなって思いますね」

　花巻東高・佐々木麟太郎、桐朋高・森井翔太郎……高校卒業時という区切りの時に、進路をはるか東方へきり換える例はいくつか出会ってきたが、大学生がその学業途上で、しかもチームの大黒柱という存在が、アメリカの大学編入という例は、仙台大・佐藤幻瑛投手が初めてではないか。

桐朋高からマイナーリーグに挑戦中の森井　©Takashi Shimizu

「行くのなら、大きくなって帰ってこい！」と思う反面、もしイメージとあまりに違う現実があったなら、早めに原点に戻す勇気もあってよい。

　当座、NPBにとっては、「幻」の剛腕になってしまうのだろうが、いずれ、NPBの剛腕として私たちを唸らせてくれる日がやってきても、きっとこの国の野球ファンは、大手を広げて迎え入れてくれることだろう。