女子陸上選手を狙う卑劣な盗撮「防ぎきれません。本当に困ったこと」“美女スプリンター”と呼ばれた市川華菜が今語る、現役選手が声を上げる“難しさ” 

　実力もさることながら華やかな容姿が人目を引くことで、「美女スプリンター」と言われることも多かった市川さん。これに関しては「ありがたいこと」と言うが、持ち上げられすぎれば率直な思いすら持てなくなる。

　写真の無断使用や盗撮、過度な取材が最も酷かったのは大学時代。社会人になってミズノ陸上部の選手として活動するようになってからは同社の女性マネジャーが厳しく管理してくれたお陰で守られるようになったそうだが、「試合中の盗撮は選手側から見てほとんど分かっています」と今も警鐘を鳴らす。

©Shiro Miyake

「防ぎきれません。本当に困ったことです」

「報道目的以外の雑誌に出ている写真の中には、正規のカメラマンエリアから撮ったとしか考えられないアングルの写真もあります。そうなるとみんなが敵なのかもしれないと思って怖くなるし、防ぎきれません。これは本当に困ったことです」

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　盗撮で狙われがちなのはクラウチングスタートの時の正面からのアングルや横からのアングル、または400mなど中距離のレースでフィニッシュした直後に無防備に倒れ込んでしまう時。市川さんは現役の頃から「年下の選手が倒れていたらすぐにタオルを掛けたり、早く立ち上がってと声を掛けたりしていました」というが、全員に対応できるわけではなく、これは指導者となった今も悩ましい部分だという。

　ただし盗撮の問題に関しては近年、ワールドアスレティックスが重大な問題として対処や予防策を推し進めており、今では学生の大会でも警備員が巡回していたり、撮影するには許可証である腕章をつけることを義務づけたりしている。とはいえ、一眼レフなど大型のカメラは取り締まることができてもスマホ撮影までは対応しきれないという悩ましさは残る。映像を記録する目的で学生がスマホで撮ることもあるからだ。

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