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「ユーキは逸材。でも、タツの成長も大したものだよ」石川祐希を育てたイタリア熱血漢が25歳大塚達宣の未来を予言「タツは自分の道を見つけた」
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byTakashi Yuge
posted2025/12/13 11:03
石川祐希を擁するペルージャをホームに迎えたミラノ大塚達宣。石川が欠場したことで日本人対決は叶わなかったが、試合後に言葉をかわした
石川は先月下旬に痛みを感じたという左膝の大事をとり、直近の2試合に続いてミラノ戦でも出場せず、ベンチに留まった。
ただし、表情に余裕がある。ペルージャには今季から5人の選手が新たに加わったが、石川は彼らとのポジション争いに神経をすり減らす必要はない。1年目の今頃は新天地に順応するため、険しい表情も多かったが、最終的にクラブと町の悲願だったCEV(欧州バレー連盟)チャンピオンズリーグを制したことで、常勝軍団における自らの地位を確立したからだ。
ミラノ戦での石川はベンチで新顔たちに交じり、いつものクールな表情を和らげつつ、仲間の好プレーに腕を突き上げ、展開によっては新入団組と笑顔を作った。
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選手の新陳代謝が激しいセリエAで10年以上の戦歴を誇る石川は、11日に30歳の誕生日を迎えた。コートの中にあらずとも、ファンのみならず同業者からのリスペクトを広く集める。7歳年下の新人リベロ、マルコ・ガッジーニなどは“ユーキ先輩”の一挙手一投足から片時も目を離さない。
欧州王座の次は「世界一」
王者の12月はハードスケジュールの極みだ。
10日、石川が復帰したCEVチャンピオンズリーグ初戦でチェコの強豪LVIプラハを退けたペルージャは、その後、世界クラブ選手権のために一路ブラジルの都市ベレンへ。ペルージャから片道1万キロ近い長距離移動の末、16日から始まる大会では6日間で最大5試合を戦う。同大会ではSVリーグ・大阪ブルテオンとの対戦も控えており、石川のコンディションには注目が集まる。
今シーズンは石川にとって、キャリアで最もタフなものになるかもしれない。ただし、はち切れんばかりに力を蓄えた両腕と両脚は“望むところだ”と言っている。
欧州王座は獲った。今度は世界一を獲りに行くのだ。
「普通にプレーできる状態には仕上がってきているので、ここからさらに調整して。チャンピオンズとその後の世界クラブ選手権に向けて、いい状態にもっていきたいと思います」


